バルト三国防衛強化へ：NATO艦船の寄港、学生に問う「安全保障」とは
先日、NATO（北大西洋条約機構）の艦船がバルト三国に寄港するというニュースが報じられた。これは、ロシアによるウクライナ侵攻以降、高まる地政学的緊張の中で、バルト三国周辺の安全保障体制が強化されていることを示す象徴的な出来事と言えるだろう。我々学生新聞は、このニュースを単なる国際情勢の一コマとして片付けるのではなく、私たち自身の問題として捉え、その意味を深く考察したい。
バルト三国、すなわちエストニア、ラトビア、リトアニアは、歴史的にロシアと複雑な関係を抱えてきた。ソ連崩壊後、独立を回復したものの、依然としてロシアの影響力圏内にあり、その安全保障上の脆弱性は常に議論の的となってきた。今回のNATO艦船の寄港は、これらの国々への支援と連帯を明確に示すものであり、域内の安定化に寄与する可能性を秘めている。
しかし、ここで我々学生が問うべきは、「安全保障」とは一体何なのか、ということだ。軍事的なプレゼンスの強化は、確かに抑止力となり得る。しかし、それが本当に我々が望む「安全」に繋がるのか。軍拡競争は、新たな火種を生み出す危険性も孕んでいる。特に、核保有国が関与する紛争においては、そのリスクは計り知れない。
我々学生世代は、平和な世界を希求している。戦争の悲惨さを直接体験した世代ではないからこそ、その「平和」がいかに fragile（脆い）ものであるかを理解し、守り抜く努力を惜しむべきではない。そのためには、軍事的な側面だけでなく、外交、経済、文化といった多角的なアプローチから、国際社会の安定化に貢献していく必要がある。
NATO艦船の寄港は、私たちに「安全保障」について改めて考える機会を与えてくれた。この機会を捉え、世界で何が起こっているのか、そしてその中で私たちが何をすべきなのかを、一人ひとりが真剣に考えていくことが求められている。それは、遠い国の出来事として傍観するのではなく、自らの未来を切り拓くための、建設的な一歩となるはずだ。
NATO艦船、リガに到着：バルト三国防衛体制「バルト・セントリー」を強化,UK Defence Journal
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