読書離れに警鐘、若者の知的好奇心を育む機会を
ゴールデンウィークを前に、広島国際大学図書館が実施した学生へのアンケート調査で、図書館の利用経験がない、あるいはほとんど利用したことがないと答えた学生が半数以上にのぼったというニュースは、近年の読書離れ、いや、むしろ知への探求心の希薄化を象徴する出来事として、我々に重い問いを投げかけている。
もちろん、情報化社会の進展により、学生が知識や情報を得る手段が多様化したことは理解できる。インターネットやSNSを通じて、瞬時に多くの情報にアクセスできる時代である。しかし、それが図書館という「知の宝庫」から学生を遠ざけている現状を、私たちは看過してはならない。
図書館で本と向き合う時間は、単に知識を詰め込む作業ではない。そこに記された先人の知恵、多様な価値観、そして深遠な思想に触れることで、自らの視野を広げ、思考力を養い、人間性を豊かに育むことができる。それは、インターネットで拾い集めた断片的な情報からは決して得られない、深い教養と、物事を多角的に捉える力を育む営みである。
特に、今まさに自らの人生の羅針盤を探し求める若者にとって、本との出会いは、自己理解を深め、将来への指針を見出すための貴重な機会となるはずだ。この機会を失うことは、自らの可能性を狭め、社会の担い手としての成長を妨げることに繋がりかねない。
少子化が進み、将来を担う若者の育成が国家的な課題となっている今、このような状況は憂慮すべき事態である。大学側は、単に図書館を「ある」ものとして置くだけでなく、学生が積極的に図書館を利用したくなるような、魅力的な企画やイベントを企画・実施する必要があるだろう。また、教育現場全体としても、読書の重要性を改めて説き、知的好奇心を刺激するような教育への取り組みを強化すべきである。
そして、私たち一般市民も、子供たちが幼い頃から本に親しむ環境づくりに努め、図書館を身近な存在として活用していく意識を持つことが大切だ。知への探求心は、一朝一夕に育まれるものではない。日々の積み重ね、そして社会全体で育むべき、かけがえのない財産なのである。
ゴールデンウィークは、家族や友人との団欒だけでなく、知的な探求に時間を費やす絶好の機会でもある。この機会に、ぜひ図書館へ足を運び、本の世界に触れてみてはいかがだろうか。そして、次世代を担う若者たちが、図書館という灯台を頼りに、豊かな知性を育んでくれることを願ってやまない。
広島国際大学図書館で、春休みに本をたくさん借りられる「春期特別貸出」が始まったよ！,広島国際大学
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