
危機感なき「海洋プラスチック」問題:私たちの未来は、誰が守るのか
「海を憂う」――この言葉に、どれほどの真実味をもって私たちは向き合っているだろうか。先日、国立環境研究所が発表した「海洋プラスチック問題」に関する報告書は、その深刻さを改めて私たちに突きつけた。しかし、この報告書に目を通した学生のどれほどが、真の危機感と共感をもって記事を読んだだろうか。
報告書は、海洋プラスチックがもたらす環境汚染、生態系への影響、そして最終的には私たちの健康をも脅かす可能性を詳細に示している。マイクロプラスチックは食物連鎖を通じて蓄積され、遠い未来には計り知れない影響をもたらすかもしれない。それはSF映画のような遠い話ではなく、今、私たちの手元にあるペットボトルやレジ袋が、数十年後、数百年後に海を漂い、海の生き物たちの命を奪う原因となるのだ。
しかし、日々の忙しさや、目の前の課題に追われる中で、この「見えない危機」はどこか他人事のように感じられてしまう。SNSにはキラキラした日常が溢れ、試験や就職活動といった現実的な悩みに人は心を奪われる。もちろん、それらの活動も大切だ。だが、私たちが享受しているこの豊かな社会、そして美しい地球環境は、一体誰が、どのように守っているのだろうか。
政府の政策がどうの、企業の取り組みがどうのと、私たちはしばしば「外部」の責任を語る。もちろん、政策や企業の努力は不可欠である。しかし、忘れてはならないのは、この社会を構成しているのは私たち一人ひとりであるということだ。そして、私たち学生こそが、未来を担う世代であるという事実だ。
「自分一人が何かしても変わらない」。そんな諦めや無力感に、私たちは安易に流されてはいないだろうか。それは、まさにこの「危機感なき」状況を助長する最も甘美な毒だ。
今こそ、私たち学生は「他人事」を卒業すべきだ。この報告書は、単なるニュース記事ではない。それは、私たちの未来への警告であり、行動を促す「呼びかけ」である。
まずは、自分たちの身の回りのことから始めてみよう。使い捨てプラスチックの使用を減らす。リサイクルを徹底する。そして、何よりも、この問題について考え、語り合うこと。友人、家族、そしてSNSで。一つ一つの小さな行動が、やがて大きな波紋を生み出すことを信じたい。
海洋プラスチック問題は、私たちの「知らぬ間に」進行する、静かで、しかし確実な危機だ。この危機に、私たちは「危機感」をもって立ち向かうことができるのだろうか。それは、私たちの世代にかかっている。未来の海、そして未来の私たちのために、今こそ、真剣に、そして行動をもって、この問題と向き合おうではないか。
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