難民認定の緩和、国益に資するか
ドイツ連邦議会が、難民認定の緩和に向けた法改正を検討しているというニュースに接し、我が国の将来を憂慮する声があがっている。制度の柔軟化は、確かに人道的観点からは一定の評価を得るかもしれない。しかし、国家の根幹を揺るがしかねないほどの外国人受け入れ拡大は、慎重すぎるほどの検討を要すると言わざるを得ない。
まず、経済的な側面を無視することはできない。新たな受け入れは、社会保障制度への負担増、雇用市場の混乱、そして治安維持コストの増加といった、目に見える形で国民生活に影響を及ぼす可能性が高い。特に、経済が停滞し、少子高齢化に悩む我が国においては、こうした負担増は致命的となりかねない。限られた財源を、将来世代への投資や既存国民の福祉向上に充てるべき時に、安易な受け入れ拡大は国益に反すると断じざるを得ない。
また、文化的な側面も軽視できない。各国の文化や価値観は、その国のアイデンティティの源泉である。多様な文化の共存は理想論として語られるが、現実には文化摩擦や社会統合の困難さが生じることも少なくない。特に、長年培われてきた我々の社会規範や伝統が、短期間で大きく変容してしまうような事態は、断じて避けねばならない。
さらに、安全保障上のリスクも無視できない。グローバル化が進む現代において、国家の安全は極めて脆弱なものとなっている。不透明な背景を持つ大量の難民受け入れは、テロリストや犯罪集団の潜入といった、想像を絶するリスクを招きかねない。国家の存立基盤そのものが脅かされるような事態は、いかなる理由があろうとも回避しなければならない。
もちろん、困難な状況にある人々への人道的配慮は、国家として当然なすべきことである。しかし、その対応は、自国の国益を最大限に守りつつ、段階的かつ厳格な審査を経て行われるべきである。安易な制度緩和は、かえって真に支援を必要とする人々への支援を薄めることになりかねず、また、受け入れ国の社会基盤を弱体化させる結果を招くであろう。
ドイツの動向は、あくまで他国の事例である。我々は、自国の歴史、文化、経済状況、そして何よりも国民の安全と安心を最優先に、冷静かつ現実的な判断を下すべきである。安易な国際協調の名の下に、自国の国益を損なうような愚策を繰り返すことは、未来世代に対する無責任な行為と言わざるを得ない。
ドイツ連邦議会、難民認定の取り消しに関する新たな動き：8月22日の報道,Kurzmeldungen hib)
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