パートタイム勤務者の収入アップ、後押しするどころか…
先日の報道で、パートタイム労働者の収入アップを目指す国の施策が、期待されたほどの効果を上げていない実態が明らかになった。本校の学生の多くも、学業と両立させながらアルバイトで生計を立てている。彼らにとっても、このニュースは決して他人事ではない。
「収入アップ」という言葉だけを聞けば、誰もが喜ばしいニュースだと捉えるだろう。しかし、実情はそう単純ではないようだ。取材を進めると、「希望する時間数で働けない」「そもそもシフトに入れてもらえない」といった声が数多く聞かれた。つまり、国が掲げる「収入アップ」は、労働者側の「働きたい」という意思や、現実の労働市場の状況を十分に反映していない、単なる上辺だけのスローガンに過ぎないのではないか、という疑念さえ抱かざるを得ない。
そもそも、パートタイム労働者は、正社員に比べて不安定な雇用形態に置かれやすい。子育てや介護との両立、あるいは学生の本分である学業に集中するため、意図的にパートタイムという働き方を選択する人も少なくない。そんな彼らにとって、収入アップとは、単に手取りが増えるということだけではないはずだ。それは、より安定した生活基盤を築き、将来への希望を持つための、人間らしい生活を送るための権利でもある。
しかし、現状はどうか。一部の企業では、労働者の収入アップのために、むしろ労働時間を削減したり、シフトを不安定にしたりする動きすら見られるという。これは、まさに「本末転倒」と言わざるを得ない。国は、労働者の収入アップを真に実現したいのであれば、まずは労働市場の構造的な問題に目を向けるべきだ。
例えば、最低賃金の引き上げはもちろんのこと、パートタイム労働者にも、より多くの労働時間や、希望する勤務時間帯で働ける機会を保証するような企業へのインセンティブ付与なども検討すべきだろう。また、企業側にも、パートタイム労働者を単なる「使い捨て」の駒としてではなく、大切な「労働力」として認識し、その能力を最大限に引き出すための努力を促す必要がある。
私たち学生も、この問題から目を背けてはいけない。将来、社会に出れば、私たち自身も労働者となる。その時に、どのような働き方を選択するのか、そしてどのような労働環境を求めるのか。今から、この「収入アップ」という言葉に隠された現実を見つめ、声を上げることが、より良い未来を築くための第一歩となるはずだ。
国よ、企業よ、そして私たち学生よ。パートタイム労働者の「収入アップ」を、今度こそ、実質的なものにするために、共に考え、行動する時が来ている。
パートタイム勤務者の収入アップを後押し？ドイツ連邦議会に提出された「パートタイム増額への税制優遇」に関する質問書,Drucksachen
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