デジタル庁の「別表」と「情」：国民の不安に寄り添う姿勢を
デジタル庁がマイナンバー制度の運用状況に関する「別表」を公開した。その内容は、我々国民が抱く漠然とした不安を、具体的な数字として突きつけるものであったと言えるだろう。個人情報保護への懸念、システムトラブルへの不信感、そして何よりも、政府が国民の個人情報をいかに扱っているのかという「情」の部分への不透明さ。こうした国民の根源的な不安に対し、デジタル庁が提示した「別表」は、果たして十分な説明責任を果たせているのだろうか。
確かに、デジタル庁は「別表」を通して、一定の透明性を確保しようとしたのかもしれない。しかし、そこに記された数字の羅列は、残念ながら多くの国民にとっては「安心」よりも「不安」を掻き立てるものであったのではないか。そもそも、マイナンバー制度そのものが、国民の個人情報を一元化するという、これまでにはない国家による管理体制の強化であり、その導入段階から多くの国民が懸念を表明してきた経緯がある。
今回の「別表」が、その懸念を払拭するものではなく、むしろ増幅させてしまったとすれば、それはデジタル庁のコミュニケーション能力、あるいは国民への寄り添い方の根本的な問題を示唆していると言わざるを得ない。我々が求めているのは、単なる統計データや技術的な説明ではない。国民一人ひとりが、自らの個人情報がどのように扱われ、それが国家によってどのように守られているのか、という「情」の部分への丁寧な説明なのだ。
デジタル庁には、今回の「別表」を単なる報告で終わらせず、国民の不安に真摯に向き合い、その声に耳を傾ける姿勢を強く求める。そして、今後、マイナンバー制度の運用にあたっては、技術的な側面だけでなく、国民の感情、すなわち「情」にも配慮した、より丁寧で分かりやすい説明と、透明性の確保に努めるべきである。国民の信頼なくして、デジタル化の推進はあり得ない。その基本を忘れてはならない。
デジタル庁、マイナンバー制度の「別表」と「情報提供」に関する省令改正案の意見募集を開始！より安全で便利な社会を目指して,デジタル庁
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