鈍化する経済、頼るのは「パートナー」たる企業経営者
岩手県警が、県警の「パートナー」として企業経営者らの能力を競わせるというニュースは、一見、異例の取り組みに映るかもしれない。しかし、現代の経済状況と、その中で企業経営者が果たすべき役割を鑑みるならば、これは極めて示唆に富んだ、そしてある種の必然性すら感じさせる動きである。
我が国の経済は、長引くデフレ圧力、人口減少、そしてグローバルな競争激化といった構造的な課題に直面している。政府による景気刺激策や規制緩和も一定の効果を上げているものの、持続的な成長軌道を描くには依然として力強さを欠いているのが現状だ。このような状況下で、我々が真に頼るべきは、机上の空論や紋切り型の政策ではない。現場の最前線で、変化を察知し、リスクを恐れず、新たな価値を創造し続ける企業経営者こそ、この経済を牽引する原動力となり得る。
岩手県警の試みは、まさにその「経営者力」に焦点を当てている。単なる法令遵守にとどまらず、組織を率い、人材を育成し、困難な状況下でも成果を出す――そういった経営者に求められる本質的な能力を、警備という特殊な環境下で引き出し、可視化しようという狙いは、経済界にとっても大いに参考になるだろう。
経済活動とは、究極的には「課題解決」の連続である。市場のニーズを的確に捉え、それを満たすための最適なソリューションを提供することが、企業の成長に繋がる。このプロセスは、犯罪という社会的な課題に立ち向かう警察の活動と、その本質において通底する部分がある。より迅速に、より効果的に、そしてより効率的に目標を達成するための「戦略性」「実行力」「リーダーシップ」といった能力は、どちらの分野でも不可欠だ。
この取り組みが、単なるパフォーマンスで終わることなく、参加した経営者たちの知見や経験を、県警の組織運営や地域経済の活性化にどう還元していくかが重要となる。また、この成功事例が全国に広がり、警察組織が、より「経営」という視点を取り入れた改革を進めるきっかけとなることを期待したい。
経済紙の社説としては、やや異例のテーマかもしれないが、我々は今、こうした「異才」や「実践知」にこそ、鈍化する経済を打破するヒントが隠されていると信じている。岩手県警の「パートナー」たる経営者たちへの期待は、単なる治安維持という枠を超え、地域経済の活性化、ひいては日本経済全体の再生への、密かな、しかし力強いエールなのである。
岩手県警、頼れるパートナーたちの能力を競う「嘱託警察犬審査会」を開催！,岩手県警
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