伊方発電所、7月のトラブルが示すもの ～安全神話の終焉と私たちの責任～
先日、四国電力が公表した伊方発電所における7月の連続通報事象に関するニュースは、私たち学生に改めて原子力発電の現実を突きつけた。原発の安全神話が、静かに、しかし確かに、ほころびを見せ始めているのではないか。そんな危機感を抱かずにはいられない。
報道によると、7月には1号機で冷却水ポンプの異常、2号機でタービン建屋への浸水、そして3号機では排気筒からの漏洩という、それぞれ異なる性質のトラブルが相次いで発生した。幸い、いずれも原子力災害には至らなかったとされている。しかし、これらの事象が「連続」して、しかも「異なる」場所で起こったという事実は、単なる偶発的な出来事として片付けるにはあまりにも重すぎる。
特に懸念されるのは、これらのトラブルが、本来、万全であるはずの安全対策や点検体制の隙間を突くように発生している点だ。冷却水ポンプの異常は、原子炉の冷却という最も基本的な機能に疑問符を投げかける。タービン建屋への浸水は、自然災害への備えという点での脆弱性を示唆する。そして、排気筒からの漏洩は、放射性物質の封じ込めという、原子力発電の根幹に関わる部分での問題を示唆している。
原子力発電は、その恩恵の大きさと引き換えに、万が一の事態がもたらす影響は計り知れない。私たちは、過去の悲惨な経験から、安全対策の徹底と、あらゆる可能性を想定したリスク管理の重要性を学んだはずだ。しかし、今回の伊方発電所のトラブルは、その教訓が十分にいかされているのか、という根本的な問いを私たちに投げかけている。
「安全神話」は、ある意味で、私たちを無関心へと導く甘い麻薬だったのかもしれない。しかし、今、その神話の壁は崩れ始めている。そして、その壁が崩れた後に何があるのかを、私たちは真剣に考えなければならない。
学生である私たちに、直接的に原発の運用に関わることはできない。しかし、無関心でいることは、未来への責任放棄に他ならない。今回の伊方発電所のトラブルを、他人事としてではなく、自分たちの問題として捉え、原子力発電のあり方、そしてエネルギー政策全体について、自ら学び、考え、声を上げていくことが、私たちに課せられた役割ではないだろうか。
原子力発電所の安全は、誰か任せにして良いものではない。それは、私たち一人ひとりの、そして未来世代の、生命と健康を守るための、最も根源的な課題なのだ。伊方発電所の7月の出来事は、その現実を突きつける、痛烈な警鐘なのである。
伊方発電所、7月の通報連絡事象について四国電力が公表 – 安心・安全な運転に向けた取り組みとは？,四国電力
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