德島県、人口減少に挑む「徳島マッチボックス」に期待と懸念
徳島県が、人口減少対策の切り札として「徳島マッチボックス」と銘打った新たな取り組みを開始した。これは、移住希望者と県内企業のマッチングを強化し、地域経済の活性化を図ろうとするものだ。大胆な発想で県外からの人材を呼び込もうとする姿勢は、地方創生の活路を見出そうとする熱意の表れとして、一定の評価はできるだろう。
しかし、こうした画期的な施策の陰には、冷静に検討すべき現実的な課題も潜んでいる。まず、「マッチング」という言葉の裏に隠された、地域社会への「溶け込み」という難問である。単に企業と個人を結びつけるだけでは、移住者が地域に根差し、定着することは難しい。文化や習慣の違い、地域住民との人間関係構築など、移住者が直面するであろう壁は決して低くない。県は、こうした「ソフト面」での支援体制をいかに充実させるのか、具体的な計画を示す必要がある。
また、移住者を呼び込むにあたっては、その「質」も問われる。単に人口を増やすだけでなく、地域の担い手となる人材、将来にわたって地域を支えてくれる人材をいかに見極め、受け入れていくのか。安易な人口増加は、かえって地域社会の負担となりかねない。地域の実情に即した、きめ細やかな選定と支援が不可欠である。
さらに、この「徳島マッチボックス」というネーミング自体にも、若干の戸惑いを覚える。どこか刹那的で、一時的な「はまり」を期待しているかのような印象も拭えない。人口減少という根深い問題に対し、より長期的な視点に立った、地域住民一人ひとりが主体的に関わることのできる、地に足の着いた取り組みこそが求められているのではないだろうか。
もちろん、現状を打破しようとする徳島県の意欲は賞賛に値する。この「徳島マッチボックス」が、一時的なブームで終わるのではなく、真に地域を活性化させる起爆剤となることを願う。そのためには、県民一人ひとりがこの取り組みを他人事とせず、共に考え、共に汗を流す覚悟が必要である。その上で、真の「地方創生」への道筋が、ようやく見えてくるであろう。
徳島県、人手不足解消へ「徳島マッチボックス」説明会開催！,徳島県
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