「正しいこと」を追求する、それは私たち学生に与えられた特権である
「正しいこと」とは、一体何だろうか。この問いは、私たち学生にとって、常に付きまとう、そして決して軽視できない問いかけである。先日、ITB（国際貿易事業協同組合）のウェブサイトで、コリン・スチュアート氏の「国連の『正しいこと』への献身」という記事を読んだ。そこには、国際社会が抱える複雑な課題に対し、国連が「正しいこと」を追求し続ける姿勢が記されていた。
記事を読み進めるにつれ、私の胸に去来したのは、自分たちの置かれている立場への静かな、しかし力強い認識だった。私たち学生は、社会の現実に直接的な責任を負う立場にあるわけではない。だからこそ、私たちは「正しいこと」を、損得勘定や現実的な制約に囚われることなく、純粋に追求できる特権を与えられているのだ。
社会には、長年培われてきた慣習や、経済的合理性、あるいは政治的な力学によって、容易に変えられない「常識」と呼べるものが存在する。しかし、それらが必ずしも「正しい」とは限らない。むしろ、私たちが疑問を投げかけることで、初めてその「常識」の歪みや、隠された不条理が露呈することもある。
スチュアート氏の記事で描かれる国連の活動は、まさにその営みの一端を示している。地球温暖化、貧困、紛争といった、一見すると個人ではどうしようもないような巨大な問題に対し、国際社会は「このままで良いのか」という問いを立て、解決に向けた「正しいこと」を模索し続けている。それは、時に非難され、時に批判されることもあるだろう。しかし、その挑戦自体に、未来への希望が託されているのだ。
私たち学生もまた、日々の生活の中で、あるいは学問の中で、数多くの「問い」に直面する。それは、社会のあり方、環境問題、あるいは人間関係の不条理など、多岐にわたる。そして、その問いに対して、私たちは「なぜ？」と問い続け、自分なりの「正しいこと」を探求する責務がある。
もちろん、学生の「正しいこと」の追求が、すぐに社会を変える力を持つわけではないかもしれない。しかし、その探求の過程で培われる、批判的思考力、共感力、そして行動力は、将来必ず社会をより良い方向へ導く原動力となるはずだ。
国連の「正しいこと」への献身に触発され、私たちは改めて、自らの「問い」の重要性を認識すべきである。この特権を無駄にせず、社会の不条理に目を背けず、そして何よりも、自分自身の良心に正直に、「正しいこと」を追求していくこと。それが、私たち学生に課せられた、そして私たち学生だけが持ちうる、最も価値ある使命なのではないだろうか。
国連の「正しいこと」への献身、コリン・スチュワート特使の退任に寄せて,Peace and Security
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