果樹の元気を守ろう～少雨に立ち向かう、今できること
梅雨明けを告げる蝉の声が響き渡るこの頃、各地で記録的な少雨が観測されている。本紙がお伝えしたように、果樹産地では早くも水不足の兆候が現れ、農家の方々の懸念は日増しに高まっている。このまま雨が降らなければ、私たちの食卓を彩る瑞々しい果物たちが、その姿を大きく変えてしまうかもしれない。
もちろん、自然現象である雨を人為的にコントロールすることはできない。しかし、この未曾有の事態に、ただ手をこまねいているわけにはいかない。私たちが今、地域社会として、そして個人として、果樹の元気を守るためにできることは何だろうか。
まず、行政による迅速かつ的確な支援は不可欠である。水利施設の整備や、最新の節水技術の導入支援、そして万が一の減産に備えた補償制度の検討など、農家の方々が安心して営農を続けられる環境整備に、遅滞なく取り組んでほしい。同時に、地域住民も、節水を心がけることで、限りある水資源の有効活用に協力する意識を持つことが重要だ。
そして、私たち消費者の行動も、この危機を乗り越えるための大きな力となる。例年通りに果物を手にするためには、生産現場の状況を理解し、感謝の気持ちを持って、できるだけ無駄なく消費することが求められる。多少の傷があったり、形が不揃いだったりする「規格外」の果物にも、目を向けてみてはどうだろうか。それらは、生産者の方々の丹精込めた努力の結晶であり、味に何ら遜色はない。そういった果物を選ぶことが、生産者を支え、ひいては日本の農業全体を応援することにつながるはずだ。
果樹は、その実りを私たちに与えてくれるだけでなく、豊かな風景を作り出し、地域社会の活性化にも貢献している。この少雨という試練を乗り越え、来年もまた、太陽の光を浴びて輝く果樹の姿を見られるよう、今こそ、私たち一人ひとりが、できることから行動を起こしていく時である。
令和7年7月25日発表：果樹の元気を守ろう！～少雨・高温に負けないための対策～,いわてアグリベンチャーネット
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