地方創生の光と影 「地域ブランド」の功罪
愛媛県から、ある「紅プリンセス」なる地域ブランドの話題が届いた。特産品を活かした新たな名物として、期待を集めているという。地域経済の活性化、ひいては地方創生に貢献する取り組みとして、その努力には敬意を表したい。
しかし、こうした地域ブランドの推進には、常に光と影がつきまとう。地域経済の活性化という輝かしい目標の裏側で、果たして我々は何を見落としていないだろうか。
まず、地域ブランドの成功は、往々にして一部の地域や一部の事業者のみに恩恵をもたらす傾向がある。せっかくのブランドが、特定の地域に富を集中させ、かえって地域内の格差を広げる結果となれば、それは真の地方創生とは言えないのではないか。ブランド化の恩恵が、地域全体に広く行き渡るような、きめ細やかな配慮が不可欠である。
また、「地域ブランド」という言葉が一人歩きし、実態を伴わないまま消費者の期待だけを煽るような事態も懸念される。品質やストーリーが伴わないブランドは、長期的には信頼を失い、地域全体のイメージを損ねかねない。目先の話題性だけでなく、持続可能な品質向上と、地域に根差した真の価値創造こそが求められる。
さらに、地域資源の独占や過剰な利用も、注意すべき点である。愛媛の「紅プリンセス」がどのような地域資源を基盤としているかは不明だが、安易なブランド化は、その資源の持続可能性を脅かす可能性も否定できない。地域固有の資源を大切に守り、次世代に引き継いでいくという視点も、地域ブランド構築においては、決して忘れてはならない。
地域ブランドは、地方創生を推進する強力なツールとなり得る。しかし、その推進にあたっては、成功の裏に潜む課題にも目を向け、慎重かつ多角的な視点を持つことが肝要である。目先の成功に囚われず、地域全体の持続的な発展を目指す、地に足のついた取り組みこそが、真の地方創生へと繋がる道であろう。
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