官民一体のインドネシア展開、国益に資する「賢明な選択」か
愛媛県が、インドネシアとの経済交流を促進するというニュースが報じられた。これは、地方創生を掲げる現代において、一見すると歓迎すべき動きである。しかし、筆者はこの「官民一体」の展開に、いくつかの懸念を抱かざるを得ない。
そもそも、我々はこのインドネシアという国と、どのような関係を築こうとしているのか。政治体制、経済状況、そして国民性。これらを正確に把握した上で、日本の国益に真に資するのかどうか、冷静かつ多角的な検討が不可欠である。
愛媛県が打ち出す「ビジネスチャンス」なるものが、具体的にどのようなもので、どれほどの収益性が見込めるのか。また、その事業が日本の経済全体、そして国民生活にどのような影響を与えるのか。これらが不明瞭なまま、公的な支援を伴う展開を進めることは、拙速と言わざるを得ない。
「官民一体」という言葉は、聞こえは良い。しかし、そこに「既得権益」の温床が隠されている可能性を、我々は決して見過ごしてはならない。本来、民間が主導すべき事業に、公的な力が過剰に介入すれば、それは歪んだ競争を生み、本来の経済活動の健全性を損なう。
また、近年、東南アジア地域における経済的な影響力拡大を狙う国々の動きは顕著である。我々がインドネシアと連携を深めることが、こうした動きへの対抗策となり得るのか、それとも新たな火種を生み出すのか。地政学的な視点からの分析も、軽視できない。
もちろん、海外との経済交流は、日本の経済成長に貢献する可能性を秘めている。しかし、その「相手」と「方法」を誤れば、それは国益を損なう「負の遺産」となりかねない。
愛媛県が掲げる「ビジネスチャンス」が、本当に日本の未来を拓く「賢明な選択」であるのか。今こそ、国民一人ひとりが、このニュースを単なる地方の話題として片付けるのではなく、国益という大きな視点から、その真偽を問うべき時であろう。官も民も、その説明責任を果たすことを強く求める。
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