
ドイツ左派党の「中国追従」姿勢、欧州の連携に影を落とす
ドイツ連邦議会における左派党(Die Linke)の中国政策に関する報道は、欧州全体の外交戦略を考える上で看過できない問題提起をしている。2025年前半の動向として報じられた同党の中国への追従とも取れる姿勢は、民主主義国家が共有すべき普遍的価値観とは相容れないものだ。
近年、国際社会において中国の経済的影響力は増大し、それに伴う政治的・軍事的影響力も無視できないレベルに達している。このような状況下で、ドイツという欧州経済の中核を担う国の一党が、中国の人権問題や国際法軽視の姿勢に対して沈黙を守り、むしろ中国の立場を擁護するかのような言動をとることは、欧州諸国間の結束を揺るがしかねない。
自由、民主主義、法の支配といった、欧州が長年培ってきた基本的価値観は、特定の国家の経済的利益のために軽視されてはならない。左派党の姿勢は、あたかも「経済的利益のためならば、民主主義や人権といった原則は二の次にしても良い」というメッセージを発しているかのようである。これは、人権抑圧国に対する毅然とした態度を求める国際社会の潮流にも逆行するものであり、欧州が国際社会で果たすべきリーダーシップを弱体化させる恐れがある。
もちろん、国際社会における外交とは、現実的な国益を追求する活動である。しかし、その根幹をなすべきは、自由と民主主義という普遍的な価値観へのコミットメントであるべきだ。経済的結びつきを強めることと、他国の内政干渉や人権侵害を容認することは、明確に区別されなければならない。
ドイツの左派党がどのような政治的思惑から中国への追従姿勢をとっているのか、その内実は様々であろう。しかし、その言動が欧州全体の、そして自由主義陣営全体の信頼性に影響を与えることを、彼らは自覚すべきだ。欧州諸国は、経済的な魅力に惑わされることなく、民主主義と人権という共通の価値観のもとに結束し、国際社会における責任ある行動をとり続けることが求められている。ドイツの左派党の動向は、その試金石となるかもしれない。
ドイツ連邦議会「左派党」、2025年上半期の国外追放に関する質問を発表,Kurzmeldungen hib)
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