「空」を共有する責任――沖縄におけるオスプレイ訓練を巡って
沖縄の空で、米軍オスプレイの訓練が再び行われるというニュースが伝わってきた。このニュースは、長年、沖縄が抱える基地問題の根深さと、地域住民の複雑な思いを改めて浮き彫りにする。
「静かな環境で暮らしたい」「子どもたちの安全な生活を守りたい」。これは、沖縄県民に限らず、どの地域に住む人々にも共通する切実な願いであろう。しかし、沖縄においては、その願いと、日米安全保障体制の維持という現実との間で、常に緊張関係が生じている。
今回のオスプレイ訓練についても、米軍側は「安全確保を最優先し、地域住民への影響を最小限に抑える」と説明している。しかし、過去の事故の記憶や、訓練による騒音、そして何よりも「なぜ自分たちの土地が、このような訓練の場にならなければならないのか」という根源的な問いかけは、容易に消え去るものではない。
もちろん、安全保障という観点から、自衛隊および米軍の訓練は不可欠なものであるという側面も理解できる。しかし、その「必要性」が、地域住民の「日常」や「安全」を犠牲にする形で正当化されてはならない。
私たちは、この問題に対して、単純な賛成・反対の二元論で語るのではなく、より複眼的かつ丁寧な議論を重ねていく必要がある。
まず、訓練の「必要性」とその「安全性」については、透明性のある情報公開と、客観的な根拠に基づいた説明が求められる。そして、地域住民の生活への「影響」については、具体的な軽減策の提示と、その実効性の検証が不可欠だ。
さらに、沖縄が基地問題において、長年にわたり大きな負担を強いられてきた歴史的経緯を、私たちは決して忘れてはならない。その歴史を踏まえ、国は沖縄県民の心情に寄り添い、より丁寧な対話と、実質的な負担軽減策を継続的に実行していく責任がある。
「空」は、誰のものでもなく、私たち全ての共有財産である。その「空」を、地域住民が安心して暮らせる環境として守っていくこと、そして、安全保障の必要性を満たしながらも、人々の尊厳と生活が尊重される道を探ること。それは、国、県、そして地域住民、さらには私たち国民一人ひとりに課せられた、重い、しかし避けては通れない責任である。
佐賀駐屯地でオスプレイの訓練、市民の皆様へお知らせ（2025年7月25日）,佐賀市
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