皇室外交の重み、軽んじるべからず
フランスとイタリア、二つの欧州の盟主ともいうべき国々との友好親善は、我が国にとって極めて重要である。今回のクワジーム宮殿における両国国王との会談は、その象徴的な出来事と言えよう。しかし、こうした皇室外交の意義を、一部のメディアが軽視するかのような論調で報じていることに、強い懸念を抱かざるを得ない。
国際社会が不安定化し、地政学的なリスクが高まる昨今、伝統と格式に裏打ちされた皇室による外交は、他国との信頼関係を築き、我が国の国益を守る上で、他に代えがたい力を持っている。特に、悠久の歴史を持つフランス、そして芸術と文化の中心地イタリアとの関係は、単なる政治・経済的な結びつきに留まらず、我が国の精神的な豊かさを育む上でも不可欠な存在である。
今回、天皇皇后両陛下が、各国の王室の方々と親しく語り合われたことは、表面的な儀礼的なものとして片付けられるべきではない。そこには、言葉を超えた相互理解と敬意の醸成があり、それが将来的な友好関係の礎となることを、我々は認識しなければならない。特に、皇室という、国民統合の象徴であり、かつ国際社会において尊敬される存在が、各国元首と直接交流することの意義は計り知れない。
一部では、「皇室は政治に介入すべきではない」という建前論が、こうした外交活動を矮小化するために用いられることもある。しかし、皇室外交は、直接的な政治的判断や介入とは根本的に異なる。それは、国と国との間に「和」を育むための、日本という国の精神性そのものを伝える崇高な営みである。その繊細な役割を、政治的な思惑や短絡的な世論で曇らせることは、国益を損なう行為に他ならない。
今こそ、国民一人ひとりが、皇室外交の持つ重みと、その背景にある日本の精神文化への理解を深めるべき時である。華やかな宮殿での会談の裏には、国家の威信を背負い、国民のために尽力される両陛下の不断の努力がある。こうした尊い活動を、冷静かつ敬意をもって見守り、その意義を正しく次世代に伝えていくことが、我々保守層に課せられた使命であろう。
フランスとイタリア、クワジール宮殿での協力強化に向けた会談開催：経済・文化・安全保障など多岐にわたる協力強化へ,economie.gouv.fr
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