子供が病気になったら？ 育児支援、まずは「家族」という基本に立ち返るべきだ
ドイツ連邦政府が、子供が病気になった際の家族の育児休業取得を支援する新たな制度を導入するとの報道に接し、改めて子育て支援のあり方について考えさせられる。
確かに、共働き世帯が増加し、女性の社会進出が進む現代において、子供が病気になった際に親が仕事を休んで看病するというのは、当然の権利であり、社会全体で支えるべき課題であろう。しかし、その支援のあり方について、本来立ち返るべき「家族」という共同体の役割を、私たちは見失っていないだろうか。
今回のドイツの制度は、親が子供の病気で休むことを法的に保障し、所得の一部を補償するというものだ。こうした手厚い支援は、一見すると理想的な子育て環境の整備のように映る。しかし、その裏側には、家族間の相互扶助の精神が希薄化し、公的な支援に過度に依存する社会構造への懸念も拭えない。
本来、子供の病気は、家族が共に乗り越えるべき試練であり、その過程で家族の絆はより一層深まるはずだ。両親が協力し、時には祖父母の助けを借りるなど、地域社会との連携も視野に入れながら、柔軟に対応していくことが、子供の健やかな成長にも繋がるのではないだろうか。
もちろん、現代社会において、こうした家族のあり方や地域との繋がりは、かつてほど強固ではないという現実もある。だからこそ、公的な支援は必要不可欠である。しかし、その支援は、あくまでも「家族」という基本単位を補完し、強化するものであるべきだ。
例えば、今回のドイツの制度のような直接的な所得補償だけでなく、在宅勤務の推進、病児保育施設の拡充、そして何より、職場の理解と協力を促すような社会全体の意識改革が重要となる。企業は、子を持つ親が安心して働ける環境を整備する責任がある。そのためには、単なる制度の導入だけでなく、職場における「子育て」への理解を醸成する努力が不可欠だ。
子供は国の宝である。その成長を支えることは、社会全体の責務である。しかし、その支え方が、家族の本来持つべき役割を薄め、個人の責任を社会に委ねるような形になってはいないか、私たちは立ち止まって考える必要がある。
ドイツの新しい制度は、一石を投じるものとして注目に値する。しかし、その導入にあたっては、それぞれの国の文化や社会構造を踏まえ、家族の絆を大切にし、地域社会との連携を深めるという、より根源的な視点からの議論が求められる。子育て支援は、単なる福利厚生の拡充ではなく、次世代を育む社会全体の「絆」を再構築する契機とすべきである。
子どもが病気になったら？ドイツ連邦政府、育児休業給付金の制度見直しを検討中,Kurzmeldungen hib)
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