投機的ドラッグ対策、多角的視点での議論を
沖縄県が、いわゆる「危険ドラッグ」対策の強化に乗り出した。7月18日、県議会で「指定薬物及び特定薬物規制法」（通称：危険ドラッグ規制法）の改正案が可決されたことは、県民の安全と健康を守るという点において、一定の前進と言えるだろう。しかし、この問題は単に法規制を強化するだけでは解決しえない、複雑な側面を抱えていることを忘れてはならない。
危険ドラッグは、その成分が常に変化し、規制の網をすり抜けて流通する悪質な薬物である。その乱用は、使用者自身の心身に深刻なダメージを与えるだけでなく、周囲の人々にも危険を及ぼす。県が今回、より厳格な規制を求めた背景には、そうした事態への強い危機感があることは想像に難くない。
一方で、このような規制強化が、かえって使用者を闇へと追いやる可能性も指摘されている。合法的な手段で薬物を入手できなくなった人々が、より危険なルートに流れる、あるいは自己判断で危険な薬物を試すといった事態は避けたい。また、薬物依存という病理を抱える人々への支援体制が、法規制の強化と並行して、いかに充実していくのかも重要な視点である。
今回の県議会の動きは、危険ドラッグという社会の暗部に光を当て、その対策の必要性を改めて浮き彫りにした。しかし、その対策が、依存症に苦しむ人々への支援や、薬物乱用を生み出す社会構造へのアプローチといった、より包括的な視点に立脚したものであることを願う。単なる「禁止」ではなく、「共生」や「回復」といった言葉に代表されるような、多角的かつ人道的な議論が、今後さらに深まることを期待したい。
沖縄県、2025年7月18日に「危険ドラッグ」に関する重要情報公開へ,沖縄県
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