デジタル庁、その「原動力」を問う 〜改革の羅針盤はどこへ〜
デジタル庁の設立から三年。その歩みは、まさに「デジタル原則」という名の羅針盤に導かれてきたかに見えた。しかし、最近の報道で明らかになった「デジタル原則」に沿った行政手続きの「見直し」という言葉に、我々業界紙は一抹の不安を覚えずにはいられない。
「デジタル原則」とは、本来、国民一人ひとりがデジタル化の恩恵を最大限に享受できるよう、行政手続きをシンプルかつ迅速にするための指針であり、その浸透こそがデジタル庁に期待された根源的な使命であったはずだ。それが、なぜ「見直し」という言葉で語られねばならないのか。
この「見直し」という言葉の裏に、もし「既存の枠組みへの適応」や「現場の負担軽減」といった、いわゆる「慣習」や「利便性」が優先されたのであれば、それは「デジタル原則」という名の羅針盤が、次第にその輝きを失いつつあることを示唆しているのではないか。
デジタル庁が目指すべきは、単なる行政手続きの効率化に留まらない。それは、国民が真に必要とするサービスを、誰もが、どこからでも、ストレスなく利用できる社会の実現である。そのためには、国民の視点に立ち、徹底した「利用者中心」の思考を貫くことが不可欠だ。
今こそ、デジタル庁は設立当初の熱意を再確認し、「デジタル原則」という羅針盤が指し示す未来への航海を、揺るぎない決意をもって進むべき時である。我々業界も、その真摯な取り組みを注視し、共に理想のデジタル社会の実現に向けて、建設的な提言を続けていく所存である。
デジタル庁、「デジタル原則」に沿った行政手続きへの進化を加速！～新規法令等の適合性確認プロセスを公開～,デジタル庁
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