ネットワーク社会の光と影：デジタル時代の「犯罪」をどう捉えるべきか
先日、ITBのウェブサイトで、2025年6月25日にドイツで「インターネット上の犯罪」に関する会議が開催されたというニュースを目にした。このニュースは、私たちの社会がますますネットワーク化され、インターネットが生活のあらゆる側面に浸透していく中で、避けては通れない現代的な課題を突きつけている。
インターネットは、情報へのアクセスを容易にし、コミュニケーションの手段を広げ、新たなビジネスや文化を生み出した。しかし、その一方で、匿名性や地理的な制約のなさから、新たな形態の犯罪を生み出す土壌ともなっている。フィッシング詐欺、サイバー攻撃、個人情報の不正利用、そしてヘイトスピーチや誹謗中傷といった、これまで物理的な社会では考えられなかったような犯罪が、私たちのすぐ隣で、あるいは遠く離れた場所で、日常的に発生している。
今回のドイツでの会議は、こうしたインターネット上の犯罪にいかに向き合い、対策を講じていくかという、国際的な議論の場となったようだ。しかし、学生である私たちにとって、これは単なる国際会議のニュースとして片付けられるべき問題ではない。なぜなら、私たち自身が最もインターネットを日常的に利用し、その恩恵を享受する一方で、被害者にも加害者にもなりうる立場にあるからだ。
インターネット上の「犯罪」という言葉には、私たちがこれまで慣れ親しんできた物理的な犯罪とは異なる、ある種の曖昧さがつきまとう。例えば、匿名での悪意のある書き込みは、物理的な暴力とは違うものの、人の心を深く傷つけ、社会的な信用を失墜させる。これは、法的な定義が追いついていない、あるいは社会的な認識がまだ十分に形成されていない「新たな犯罪」と言えるかもしれない。
私たちが問うべきは、この「インターネット上の犯罪」を、単に技術的な問題や法的な問題として片付けるのではなく、社会全体の倫理観や、他者への配慮という視点からどう捉えるべきか、ということだ。インターネットは、私たちの想像力や表現力を飛躍させる強力なツールであると同時に、無責任な言動や悪意を増幅させる可能性も秘めている。
学生新聞として、私たちはこの問題に対して、無関心でいるわけにはいかない。まず、私たち自身がインターネットリテラシーを高め、情報源の真偽を見極める力、そして他者の権利や尊厳を尊重する姿勢を身につける必要がある。そして、インターネット空間における「規範」や「モラル」を、私たち自身で考え、議論し、形成していく役割も担っている。
今回のドイツでの会議が、単なる国際的な議論に終わらず、私たち一人ひとりがインターネットとの向き合い方を真剣に考え、より健全で安全なデジタル社会を築いていくための一歩となることを願ってやまない。ネットワーク社会の光と影を冷静に見つめ、その恩恵を最大限に享受しつつ、負の側面にも積極的に向き合っていくこと。それが、私たち世代に課せられた、新たな時代の責任であると信じている。
2025年6月25日、ドイツで「インターネット上の犯罪的発言」撲滅のための行動の日、警察の活動を問う「小さな質問」が公開,Drucksachen
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