若者よ、未来への「刻み」をどう刻むか ～「刻の杜」が問いかけるもの～
先日、福岡市に「刻の杜」という新たな公営斎場が整備されるというニュースが飛び込んできた。この施設は、単に故人を弔う場にとどまらず、地域住民の憩いの場としても機能することを目指し、公園のような緑豊かな景観と、最新の設備を備えているという。
一見すると、私たち学生世代とは直接関係のない、少し遠い話題に思えるかもしれない。しかし、私はこの「刻の杜」という言葉に、現代を生きる私たち学生が真剣に考えなければならない、ある普遍的な問いかけが込められているように感じてならない。
「刻の杜」――その響きには、過去から未来へと続く時間の流れ、そしてその中に刻まれていく無数の「時」が連想される。私たちは今、人生という壮大な物語の、まさに「刻」んでいる最中だ。大学という学び舎で、私たちは知識を吸収し、友と語らい、自己を形成していく。それぞれの道へ進むため、将来への希望を抱き、時には不安を抱えながら、日々を「刻」んでいる。
この「刻の杜」は、私たちに何を伝えようとしているのだろうか。それは、人生という限られた時間の中で、私たちは何を「刻み」、何を残していくのか、という問いではないだろうか。
現代社会は、変化のスピードが速く、情報も氾濫している。SNSで「いいね！」の数を追いかけたり、目先の流行に流されたりすることも容易だ。しかし、そうした刹那的な「刻」だけを重ねていった先に、本当に meaningful な人生はあるのだろうか。
「刻の杜」は、緑に囲まれ、静かに時が流れる場所だ。それは、私たちに立ち止まり、自分自身の「刻み」を見つめ直す機会を与えてくれる。私たちは、どのような知識を身につけ、どのような経験を積み、どのような人間関係を築いていくのか。そして、それは未来の自分、そして社会にどのような影響を与えるのか。
もちろん、私たち学生はまだ社会に出たばかり。具体的な「刻み」の形は、まだ模索の途中だろう。しかし、だからこそ、今、この「刻の杜」が私たちに問いかける「何を残したいのか」という問いに、真摯に向き合うことが大切なのではないだろうか。
それは、偉大な功績である必要はない。誰かの心に温かい言葉を残すこと、困難な状況にある友を支えること、あるいは、当たり前の日常に感謝し、その尊さを周囲に伝えること。そうした一つ一つの「刻み」が、やがて大きな「杜」を形成していくのだと信じたい。
「刻の杜」が完成し、多くの人々が訪れるようになる頃、私たち学生もまた、それぞれの場所で、それぞれの「刻み」を深めているはずだ。その時、私たちは胸を張って、「あの時、確かに未来への希望を刻んでいた」と言えるような、そんな日々を積み重ねていきたい。
未来へ、そして故きを温ねる人々へ、私たちは何を「刻み」として残せるのか。この問いは、私たち学生一人ひとりに投げかけられている、未来への羅針盤となるはずだ。
福岡市、新たな葬祭場「刻の森」整備事業について発表！市民の多様なニーズに応える施設へ,福岡市
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