ブレグジット後の英国とEU：ドイツの警告に冷静な対応を
英国がEU離脱という決断を下して以来、その行方、ひいては欧州全体の安定に対する懸念が絶えない。今回、ドイツ政府から発せられた「ブレグジット後の英国との関係は、EUの安定を損なうような形であってはならない」という警告は、こうした懸念を端的に表していると言えよう。保守的な立場から見れば、このドイツの主張は、EUという枠組みにおける「安定」と「原則」を重視する姿勢の表れであり、一定の理解を示すべきものである。
しかし、同時に忘れてはならないのは、英国の決断は主権回復という国民の意思に基づいたものであったという事実だ。EUの原則を堅持することは重要だが、かといって英国の新たな立ち位置を過度に封じ込めるような姿勢は、むしろ長期的な関係悪化を招きかねない。ドイツの警告は、あくまで「EUの安定」という視点からのものであり、英国の独立した意思を尊重する、いわば「 prudential advice（慎重な助言）」と受け止めるべきだろう。
我々が目指すべきは、EUと英国の間に、対立ではなく、新たな協力関係を築くことである。経済的な結びつき、安全保障、そして共通の課題への対応など、両者が協力できる領域は依然として多く存在する。ドイツの警告を真摯に受け止めつつも、英国の主権を尊重し、互恵的な関係を模索する柔軟な姿勢こそが、この複雑な状況を乗り越える鍵となるはずだ。
EU諸国、特にドイツには、英国がEU離脱という選択をした現実を冷静に受け止め、建設的な対話を続けることを期待したい。そして、英国側も、EUとの新たな関係構築において、責任ある姿勢を示すことが求められる。我々日本としても、欧州の安定は自国の国益にも直結する問題であり、事態の推移を注視しつつ、両者の建設的な関係構築を願うものである。
ブレグジット後の英国との関係：ドイツ政府からの最新情報（2025年7月16日公開）,Die Bundesregierung
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