令和7年版防衛白書、幕開け：揺らぐ安全保障環境下、日本の進むべき道
令和7年版防衛白書が本日公開された。世界は今、未曽有の安全保障環境の激変期を迎えている。ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の緊迫化、そして依然として深刻な脅威であり続ける北朝鮮の核・ミサイル開発。これらは、過去の安全保障政策の前提を根底から覆し、日本を取り巻く環境がいかに脆弱であるかを改めて突きつけている。
今回の防衛白書は、こうした厳しい現実を直視し、日本の防衛力が直面する課題と、それに対する国家としての対応方針を明示する重要な指針となる。とりわけ注目すべきは、「平和安全法制」施行後、防衛力強化の流れが一段と加速する中で、その具体的な成果と今後の展望がどのように描かれているかであろう。
近年、日本は「専守防衛」の原則を堅持しつつも、周辺国の軍事力増強や活動活発化への対抗措置として、防衛力の質的・量的拡充を進めてきた。長射程化されたミサイル能力の向上、ドローン技術の活用、サイバー・宇宙といった新たな領域への対応強化など、その取り組みは多岐にわたる。これらの施策が、国民の安全をいかに確保し、抑止力・対処力の向上に繋がっているのか。白書は、その実態を具体的に示し、国民の理解を深める責務を負っている。
しかし、防衛力強化の道は平坦ではない。限られた国家財政の中で、防衛費の増加をどう持続可能なものとするか。装備品の調達・維持・更新にかかるコスト、そしてそれを支える人材育成と確保。さらに、国民の理解と支持を得ながら、防衛政策を進めていくための丁寧な説明責任も不可欠である。
今回の防衛白書は、単なる事実の羅列に留まらず、未来への羅針盤となるべきである。変化する国際情勢の中で、日本が「平和国家」としての地位を維持しながら、いかにして国民の生命と財産を守り抜くのか。そのために、どのような防衛体制を構築し、どのような国際協力関係を深化させていくのか。これらの問いに対する、明確で説得力のある答えが、この白書に盛り込まれていることを期待したい。
防衛力強化は、単に軍備を増強することではない。それは、国益を守り、平和を維持するための、国家としての意思表示であり、外交努力の基盤である。今回の防衛白書を機に、国民一人ひとりが、自国の安全保障について真剣に考え、議論を深めていく契機となることを願ってやまない。
令和7年版防衛白書、本日公開！日本の安全保障の今と未来をわかりやすく解説,防衛省・自衛隊
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