震災の記憶、未来への責任 ～復興の歩み、地域社会の持続可能性を問う～
先日報じられた、熊本地震からの復興における農地再生と地域活性化の取り組みに関する記事は、我々に多くの示唆を与えてくれる。困難を乗り越え、新たな命を吹き込まれた農地で子どもたちの笑顔が輝く光景は、まさに希望の灯火と言えよう。しかし、この輝かしい成果の陰には、未だ残る課題、そして我々が未来世代に果たすべき責任が横たわっていることを忘れてはならない。
熊本地震は、自然の猛威が私たちの生活基盤をいかに脆くさせるかを改めて突きつけた。インフラの寸断、農地の流失、そして何よりも人々の心の傷は、容易に癒えるものではない。そうした中で、地域住民の方々が力を合わせ、粘り強く復興に取り組んでこられた努力には、敬意を表するばかりである。特に、かつて災害に屈せず営みが続けられてきた農地を再生し、そこに未来を担う子どもたちの元気な姿を見出すことは、地域社会の根幹が揺るぎなく守られている証左であり、我々国民全体の誇りである。
しかし、今回の記事が示唆する「震災を乗り越えて」という言葉の裏には、乗り越えるべき「震災」が、今後も決して無くなるわけではないという現実がある。自然災害が頻発化・激甚化する現代において、今回の復興の道のりは、我々が常に念頭に置かねばならない教訓を含んでいる。単に被害からの復旧に留まらず、将来的な災害への備えを強化し、レジリエント（強靭）な地域社会を構築していくこと。これが、今、私たちに課せられた重要な責務である。
農地再生の取り組みは、食料安全保障という国家的な課題にも繋がる。豊かな国土を守り、次世代に引き継ぐことは、我々の根源的な使命である。そのためには、単なる営農の支援に留まらず、農業技術の革新、担い手育成、そして地産地消を推進する地域コミュニティの強化など、多角的かつ長期的な視点からの支援策が不可欠となる。今回の取り組みが、今後も持続可能な農村社会のモデルとして発展していくことを期待したい。
また、子どもたちの笑顔という言葉に込められた意味は大きい。彼らが安心して学び、健やかに成長できる環境を整備することは、社会全体の未来に対する投資である。災害を経験した子どもたち、そしてこれから災害に直面する可能性のある子どもたちに対して、心のケアも含めた包括的な支援体制を構築していくことは、我々の道徳的な義務と言えるだろう。
今回の報道に触れ、我々は改めて、震災の記憶を風化させることなく、そこから学び、未来への責任を果たしていく決意を新たにしなければならない。政治は、こうした地域社会の努力に寄り添い、持続可能な復興と地域活性化を力強く後押ししていくべきである。そして国民一人ひとりも、自身の住む地域、あるいは災害に見舞われた地域への関心を高め、できる限りの支援を続けていくことが肝要である。
自然災害は避けられないかもしれない。しかし、その爪痕を乗り越え、より強く、より豊かな未来を築いていくことは、私たち人間の叡智と、連帯する力にかかっている。子どもたちの笑顔を未来に繋ぐために、私たちは今、この場所で、地に足をつけ、着実に歩みを進めていかなければならない。
能登地震を乗り越えて、農地が子どもたちの笑顔を育む場へ,公明党
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