2025年参院選：公明党候補の熱き訴えにみる、揺らぐ「創価学会票」という神話
2025年参議院選挙の告示が近づく中、各政党は最後の支持固めに奔走している。中でも公明党候補者の街頭演説からは、例年にも増して熱のこもった、そしてどこか切迫感すら感じさせる訴えが聞こえてくる。その内容は、長らく自民党との「連立の安定」や「生活者目線の政策実現」を前面に押し出してきた従来のスタイルに加え、支持母体である創価学会会員への直接的な訴求へとシフトしているように見えるのだ。
これは、長年「聖教新聞の読者数≒創価学会員数≒公明党の支持層」という等式で語られてきた「創価学会票」という絶対的とも言える基盤が、揺らぎ始めていることの表れではないだろうか。SNSの普及や価値観の多様化は、創価学会員の間にも例外なく波及している。若年層を中心に、学会の教義や活動への関心が薄れ、政党支持においても無党派層と同様、あるいはそれ以上に多様な選択肢を模索する動きが見られるという指摘は、もはや無視できないものとなっている。
公明党が直面する課題は、この「創価学会票」の相対的な低下という、構造的な変化への対応だ。自民党との連立を維持しつつも、支持母体へのアピールを強めるという、一見矛盾するような戦略を取らざるを得ない背景には、こうした危機感がある。しかし、あまりに学会色を前面に出せば、これまで公明党が築き上げてきた「幅広い層からの支持」というイメージを損ないかねない。また、自民党との政策協調において、創価学会の教義や信条に合致しない政策をどう乗り越えていくのか、その手腕も問われる。
今回の参議院選挙は、単なる国政選挙以上の意味合いを持つかもしれない。それは、公明党が「創価学会の政治的代弁者」という宿命からいかに脱却し、あるいはその特性を活かしながら、新たな支持基盤を築いていくのか。その未来を占う試金石となる可能性を秘めている。熱気を帯びる候補者の訴えの裏側で、その根本的な問いへの答えを探る有権者の冷静な視線もまた、忘れてはならないだろう。
2025年参院選の比例区：公明党候補者の熱き訴え（上）,公明党
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