通学路の安全、地域と学校の連携こそが礎,警察消防


通学路の安全、地域と学校の連携こそが礎

五條東小学校の児童たちが、横断歩道での「立ち止まり」「左右の確認」「手を挙げる」という当たり前の交通ルールを、地域住民の協力のもと、熱心に取り組んでいるというニュースに接し、筆者は一抹の安堵と同時に、改めて地域社会における教育の重要性を痛感した。

近年、都市部を中心に児童の交通事故が後を絶たない。通学路の安全確保は、保護者のみならず、地域社会全体の責務であることは論を俟たない。しかし、共働き家庭の増加や地域コミュニティの希薄化など、様々な要因から、かつてのように地域で見守るという体制が維持しにくくなっている現実もあるだろう。

そのような状況下で、五條東小学校の取り組みは、まさに「温故知新」と言える。地域住民が高齢者も含め、自発的に通学路に立ち、児童たちに声をかけ、交通ルールを指導するという姿は、失われつつある日本の原風景とも言えるだろう。これは単に交通安全指導にとどまらず、子どもたちに地域との繋がりや、他者への思いやりといった、豊かな人間性を育む貴重な機会を提供しているに他ならない。

もちろん、行政によるインフラ整備や交通規制の強化も重要である。しかし、どんなに優れた制度も、地域住民の主体的な参加なくしては絵に描いた餅に終わってしまう。学校と保護者、そして地域住民が一体となって、子どもたちの安全と健全な成長のために知恵と力を出し合う。それこそが、時代に左右されない、確かな教育の礎であると信じる。

今後、このような地域主導の取り組みが、各地で広がりを見せることを切に願う。それは、子どもたちの未来への投資であると同時に、地域社会の活性化にも繋がるはずである。子供たちの笑顔が安心して輝ける街づくり、それは私たち一人ひとりに課せられた、揺るぎない使命なのである。


五條東小学校の元気いっぱいな子どもたちが交通安全を楽しく学んだよ!,奈良県警


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