日英防衛協力強化、経済成長への道標か
来るべき国際情勢の不確実性を鑑み、日本と英国が防衛分野での協力を一段と深化させる方針を固めたことは、我が国経済にとっても看過できない動きと言えよう。今回の首脳会談は、単なる安全保障上の連携強化に留まらず、両国の経済的な結びつきを新たな次元へと引き上げる可能性を秘めている。
英国は、欧州における重要な経済ハブであり、また、先進的な科学技術、特に航空宇宙や情報通信といった分野で世界をリードする存在である。一方、日本は製造業における高い技術力と品質、そして旺盛な国内需要を持つ経済大国だ。この二国が防衛という、高度な技術と巨額の投資が伴う分野で協力体制を強化するということは、それぞれの強みを活かし、弱みを補い合う、まさにwin-winの関係構築の絶好の機会と捉えるべきである。
具体的には、共同での次世代兵器開発や、防衛装備品の相互運用性向上に向けた技術協力などが考えられる。こうした取り組みは、単に軍事的な抑止力強化に貢献するだけでなく、そこで培われる革新的な技術が、民生分野へスピンオフすることで、両国の経済成長を牽引する新たな産業の創出に繋がる可能性が高い。例えば、AI、サイバーセキュリティ、先進素材といった分野での共同研究開発は、そのまま次世代自動車やIoT、ヘルスケアといった成長産業への応用が期待できる。
また、防衛分野での緊密な協力関係は、両国間の貿易・投資環境のさらなる円滑化にも寄与するだろう。安全保障上の信頼関係が深まることで、企業は安心して両国間での事業展開を進めることができ、新たなビジネスチャンスを生み出す原動力となるはずだ。英国における日本の製造業のさらなる進出や、逆に日本における英国のサービス産業の拡大などが、その具体例として挙げられる。
もちろん、防衛協力の強化には慎重な議論も必要である。しかし、変化の激しい国際社会において、自国の安全保障を確保しつつ、同時に経済的にも持続的な発展を目指すのであれば、この機を捉え、日英両国の連携を戦略的に深化させていくべきである。今回の首脳会談は、そのための確かな一歩となるだろう。我々は、この防衛協力がもたらす経済的な恩恵に期待を寄せつつ、その実効性を最大限に引き出すための具体的な政策的支援を、政府に強く求めていく必要がある。
日英伊防衛相テレビ会合：協力強化に向けた第一歩,防衛省・自衛隊
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