迫りくる南スーダンの「見えない飢餓」 私たちは傍観者でいていいのか
南スーダンで発生している「これまでにない規模」のコレラの大流行。ITBの報道を読み、私たちの胸に去来したのは、単なる「遠い国の病気」という他人事では済まされない、重い事実である。報道によれば、このコレラは単なる一時的な流行ではなく、長期化する可能性が指摘されている。これは、紛争と貧困、そして劣悪な衛生環境が複雑に絡み合い、すでに脆弱な状況にある南スーダンの人々の生活基盤を、さらに深く、そして長く蝕むことを意味する。
南スーダンは、独立以来続く内戦の影響で、インフラは崩壊し、医療システムは機能不全に陥っている。食糧不足は慢性化し、多くの人々が「見えない飢餓」とも言える状態に苦しんでいる。そんな状況下で発生したコレラの大流行は、まるで追い打ちをかけるような悲劇だ。清潔な水の確保もままならない環境では、コレラ菌の蔓延を食い止めることは極めて困難であり、治療に必要な医薬品や医療従事者の不足も、事態を一層深刻化させている。
しかし、ここで私たちが問い直さなければならないのは、「なぜ、私たちはこの状況を許しているのか」ということだ。国際社会は、南スーダンの紛争終結のために、あるいは人道支援のために様々な取り組みを行っている。それは紛れもない事実であり、感謝されるべき活動だ。だが、コレラのような感染症の大流行が長期化するという事実は、既存の支援策だけでは、根本的な問題解決には至っていないことを示唆している。
私たち学生は、将来の社会を担う存在である。そして、現代社会はグローバル化が進み、国境を越えた問題への関心が不可欠となっている。南スーダンのコレラ問題は、遠い国の出来事ではなく、私たち自身の問題として捉えるべきである。気候変動が食糧危機を加速させ、経済格差が紛争を助長する現代において、一国の危機は世界全体の危機につながりうる。
今、私たちにできることは何か。それは、まず、この状況を知ること、そして、関心を持ち続けることだ。そして、知識を得た上で、自分たちにできる支援を考え、行動に移すことだ。募金活動への参加、国際機関の活動への理解を深めること、そして何よりも、南スーダンの人々が直面している困難について、周囲に発信していくこと。
「見えない飢餓」に苦しみ、「見えない病」に怯える南スーダンの人々に、私たちの無関心という名の冷たい風を吹かせ続けるわけにはいかない。長期化するコレラの脅威に立ち向かう彼らに、温かい支援の手を差し伸べ、希望の光を灯すこと。それが、未来を生きる私たちに課せられた、小さくも確かな使命なのではないだろうか。
南スーダンのコレラ、長期化するアウトブレイクが危機的な段階へ,Top Stories
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