鈍化する貿易、財政規律への警鐘
令和七年六月度の貿易統計が公表された。輸出入ともに伸び悩み、国際経済の不確実性が増す中で、我が国の経済状況に改めて目を向ける必要性を感じさせられる。とりわけ、長引く円安の影響もさることながら、資源高や地政学リスクの高まりが、輸出競争力への影を落としている点は看過できない。
かつて、日本の強みであった製造業の国際競争力は、この数年で相対的に低下しているのではないか。目先の円安に安堵するのではなく、構造的な問題に目を向け、技術革新や生産性向上への地道な取り組みこそが、長期的な国力維持のためには不可欠である。安易な輸出振興策に頼るのではなく、国内産業の基盤強化こそが、持続可能な経済成長への道筋であると確信する。
一方で、こうした貿易の鈍化に加え、財政状況への懸念も高まるばかりだ。世界的なインフレ傾向に加え、国内における様々な財政出動が、積み上がる国債残高へのプレッシャーとなっている。次世代に過大な負担を残さぬためにも、財政規律の重要性は論を俟たない。
政府は、国民の生活を支えるための政策を推進する一方で、将来の世代への責任を忘れてはならない。経済成長の鈍化は、財政健全化の取り組みを一層困難にする。この二重の課題に対し、国民の理解と協力を得ながら、着実な財政再建に向けた道筋を示すことが、政府には強く求められている。目先の利害に囚われることなく、国家の将来を見据えた、毅然とした政策運営を期待したい。
朗報！2025年6月度の貿易速報、財務省より公開されました！,財務省
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