ITBネットワーク第9回総会を開催して：技術革新と国家の責任を考える
来るべき未来を見据え、ITB（International Technology Backbone）は第9回総会を盛況のうちに開催した。各国の代表者が集い、情報通信技術（ICT）の発展がもたらす社会変革について熱心な議論が交わされたことは、我が国のデジタル化推進にとっても、また国際社会全体の健全な発展にとっても、極めて意義深いものと言えよう。
今回の総会では、AI、IoTといった先端技術の急速な普及が、経済活動はもとより、国民生活のあらゆる側面に浸透していく様が浮き彫りにされた。これらの技術は、生産性の向上や新たな産業の創出、そして社会課題の解決に多大な貢献を果たす可能性を秘めている。各国がそれぞれの強みを活かし、国際的な協力体制を強化していくことの重要性が改めて確認された。
しかしながら、技術革新の光の部分ばかりを見つめるわけにはいかない。むしろ、その影の部分、すなわち国家としての責任をしっかりと見据えることが、この情報化時代を生きる我々には求められている。
まず、サイバーセキュリティの問題である。高度化するサイバー攻撃は、国家の基幹インフラはもとより、国民の個人情報や財産を脅かす存在となりうる。グローバルなネットワークの発展は、同時にその脆弱性を一層際立たせることになる。各国が連携し、共通の脅威に対抗するための強固なセキュリティ体制を構築することは、喫緊の課題である。単なる技術的な対策に留まらず、国際的なルール作りや情報共有の仕組みを整備するなど、より包括的なアプローチが必要となるだろう。
次に、デジタルデバイド、すなわち情報格差の問題である。先端技術の恩恵を受けられる者とそうでない者との間の格差が拡大することは、社会の分断を招きかねない。経済的な理由、あるいは地理的な制約から、最新の情報やサービスにアクセスできない人々が存在することは、由々しき事態である。国家は、全ての国民が情報化社会の恩恵を平等に享受できるよう、教育の機会均等やインフラ整備への投資を惜しむべきではない。技術の進歩を、一部の特権階級のためだけのものにしては断じてならない。
さらに、フェイクニュースや誤情報への対策も待ったなしの課題である。インターネットの普及は、誰もが情報を発信できる自由をもたらしたが、同時に、悪意ある情報や根拠のない情報が瞬く間に拡散される危険性も高めた。国民一人ひとりが情報リテラシーを身につけることはもちろん重要だが、プラットフォーム事業者側の責任ある対応や、真実を追求する報道機関の役割も、より一層厳しく問われることになる。健全な言論空間を守るためには、自由と責任のバランスが不可欠である。
今回のITB総会は、国際社会が直面する技術的な課題と、それに対する国家の責任を改めて浮き彫りにした。我が国は、この機会を捉え、技術革新を推進すると同時に、国民生活の安全・安心を守り、社会全体の公正さを保つための施策を、より一層強力に進めていくべきである。それは、未来世代への責任であり、国家としての責務である。
日本IFIARネットワーク第9回総会開催！各国の課題と日本の取り組みを共有,金融庁
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