国の借金、増え続ける「見えざる負担」に目を向ける時
再び、国の借金に関する最新情報が報じられた。その額はとどまることを知らず、国民一人当たりの負担額も着実に増加の一途をたどっている。この数字は単なる統計上のデータではなく、私たちの将来世代にまで及ぶ「見えざる負担」として、経済運営における喫緊の課題を突きつけている。
もはや「楽観視」という言葉は通用しない。経済成長による自然な税収増だけでは、この膨張し続ける債務を賄いきれない現実を直視しなければならない。むしろ、経済が停滞すれば、社会保障費の増加と税収の減少という二重苦に苛まれ、借金はさらに雪だるま式に膨張する可能性すらある。
もちろん、新型コロナウイルス禍からの経済回復、あるいは将来的な危機への備えとして、一定の財政出動は避けられない側面もあるだろう。しかし、その規模と効果、そして何よりも「その借金を将来どう返済していくのか」という明確なビジョンが、国民には見えていない。
例えば、個人の家計に例えれば、住宅ローンやカードローンで膨らんだ借金を前にして、漫然と「なんとかなるだろう」と考える経営者はいないはずだ。具体的な返済計画、収入の増加策、支出の削減策など、現実的な対応を必死に考えるだろう。国の財政も、まさにそれと同じ状況にあるのだ。
問題は、この「借金」という言葉の響きが、どこか他人事のように聞こえてしまうことにあるのかもしれない。しかし、国の借金は、最終的には国民一人ひとりの税金という形でそのツケを払うことになる。そして、それは現在の世代だけでなく、未来の世代の経済的自由や選択肢を狭める「負担」となることを忘れてはならない。
今こそ、経済紙として国民に問いたいのは、この「見えざる負担」に対して、私たちはどう向き合うべきか、ということだ。単に数字の増減に一喜一憂するのではなく、その背景にある構造的な問題を掘り下げ、持続可能な財政運営に向けた具体的な議論を深める必要がある。
それは、歳出削減の痛みを伴う改革なのか、それとも、新たな税源の確保や税制の見直しなのか。あるいは、経済の潜在成長率を高めるための構造改革を推し進め、税収基盤を強化することなのか。いずれにせよ、国民一人ひとりがこの問題に関心を持ち、議論に参加していくことが、この国の経済的な将来を切り拓く第一歩となるだろう。
「なんとかなる」という幻想から目を覚まし、現実的な解決策を模索する時が来ている。国の借金という「見えざる負担」を、私たちはもはや無視することはできないのである。
初めてでも安心！個人向け国債の最新情報（令和7年6月発行分）をわかりやすく解説,財務省
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