グループ活動と“日本のファン”への敬意 宝塚が示すべき未来とは
来る2025年、世界を席巻するK-POPグループ「TREASURE」が、日本の宝塚歌劇団とのコラボレーションを通じて、映像作品としてファンに披露されるというニュースは、確かに新鮮な響きを持つ。エンターテイメントの枠を超えた、異文化間の融合という点に、新たな時代の胎動を感じ取る向きもあろう。しかし、この企画が、私たち日本の、特に保守的な価値観を持つ一般紙の読者にどのような受け止められ方をするのか、冷静に考察することは、むしろ重要な視点である。
まず、TREASUREというグループの背景に目を向けたい。彼らは韓国を拠点とする多国籍の若き才能集団であり、その活動はグローバルな視野に立脚している。一方で、宝塚歌劇団は、日本の伝統芸能としての側面を持ち、長きにわたり、女性のみで構成される独特の世界観を築き上げてきた。この二者が結びつくことの意義を測るには、単なる話題性だけでは不十分である。
日本のファンがTREASUREに魅力を感じるのは、その高度なパフォーマンス能力、洗練された楽曲、そしてグローバルな発信力にあることは疑いようがない。しかし、宝塚歌劇団が日本の観客に提供してきたものは、それだけではないはずだ。そこには、日本の美意識、女性の輝き、そして何よりも、世代を超えて受け継がれてきた「日本のエンターテイメント」としての誇りが息づいている。
今回のコラボレーション企画、特に映像作品化という形は、その「日本のエンターテイメント」の核心に触れるものである。果たして、この融合は、宝塚歌劇団が培ってきた伝統や精神性を損なうことなく、新たな価値を創造できるのだろうか。あるいは、商業的な成功を優先するあまり、その繊細なバランスが崩れてしまう危険性はないのだろうか。
私たちは、グローバル化の波に抗うことはできない。異文化との交流から学び、刺激を受けることは、むしろ健全な成長の証であろう。しかし、その過程で、自らが大切にしてきたものを失ってはならない。特に、宝塚歌劇団が、日本の、そして世界中の多くのファンに愛され続けてきた根源は、その「日本らしさ」にあると信じている。
このコラボレーション企画が成功するとすれば、それはTREASUREというグループが、宝塚歌劇団の持つ普遍的な魅力、つまり芸術性や表現の深さを理解し、敬意を払った上での融合である場合だろう。そして、宝塚歌劇団側もまた、外国のグループとの協業を通じて、新たな視点や表現方法を取り入れる一方で、自らのアイデンティティを揺るがすことのない確固たる軸を持ち続けることが肝要である。
映像作品という形で展開されるこの試みが、単なる一過性のイベントに終わらず、日本のエンターテイメントの多様性を豊かにし、さらに多くの人々が宝塚歌劇団の魅力を再認識する契機となることを願う。そのためには、企画の細部にまで、日本のファンへの敬意と、宝塚歌劇団が背負う伝統への配慮が反映されていることが、期待されるところである。
TREASURE、2025年の日本ファンコンサートが映像作品化！「SPECIAL MOMENT」がHMVで公開,HMV
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