開くべきは開発経済学の扉か、それとも別の扉か
先日の報道によると、開発経済学を主題とした特別ウェビナーが開催されたとのこと。先進国が途上国の経済発展を支援する開発経済学という分野への関心が高まっているという背景があるようだ。しかし、その一方で、我が国の現状を鑑みれば、今、私たちが開くべき扉は、本当に開発経済学なのだろうか、と立ち止まって考えざるを得ない。
確かに、世界には貧困にあえぐ国々があり、その支援は人道的な観点からも重要であることは論を俟たない。しかし、目を内向きに転じれば、我が国も決して安穏とはしていられない状況にある。少子高齢化の加速、地域経済の衰退、そして現役世代の負担増など、目を背けたくなるような課題が山積しているではないか。これらの国内問題への対応こそが、喫緊の課題であると考えるのは、決して悲観的な見方ではないはずだ。
開発経済学の専門家たちが、どのようにすれば途上国が持続的な成長を遂げられるのか、その道を指し示すことは素晴らしい。しかし、その知見を応用して、我が国の疲弊した経済をいかに立て直すか、という視点が欠けているように思えてならない。国際社会への貢献も大切だが、それは自国の基盤がしっかりとしてこそ、初めて意味を成すのではないか。
今回のウェビナーが、単なる知識の披露に終わることなく、我が国が抱える根深い課題解決の糸口となるような、具体的な提言へと繋がることを期待したい。しかし、そのためには、まず国内の現状を的確に把握し、自国の発展なくして他国の発展支援はありえない、という現実を直視する必要があるだろう。私たちが今、本当に開くべきなのは、果たして開発経済学の扉だけなのだろうか。改めて、その問いかけに対して、真摯に向き合いたいものである。
開発経済学の扉を開く：AFD主催の特別ウェビナー「DecoDev」開催！,AFD
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