「原発頼み」の危うさ、今こそ問い直す時
玄海原子力発電所における新たな防災計画が「パラダイムシフト」とも評されるほど抜本的な見直しを迫られている。これは単なる技術的な修正の問題ではない。これまで私たちは、安全神話を信奉し、原発に依存するエネルギー政策を安易に受け入れてきたのではないか。今回の事態は、その根本的な姿勢を問い直す契機となるべきである。
国のエネルギー政策の根幹をなす原子力発電所。その安全性が揺らぐとき、国民の生活基盤そのものが危機に晒される。今回の報道によれば、想定を超える自然災害への対応、特に津波に対する想定外の脆弱性が浮き彫りになったという。まさに、過去の教訓に学ばず、未来の脅威への備えを怠ってきた結果と言わざるを得ない。
もちろん、エネルギーの安定供給や地球温暖化対策といった観点から、原子力発電所の必要性を説く声があることも理解できる。しかし、そのために国民の安全を二の次にすることは決して許されるべきではない。リスク管理という言葉の裏に隠された「想定外」という言葉ほど、私たちに不安を与えるものはない。
今回の防災計画の見直しは、過去の過ちを繰り返さないための、そして未来の世代に責任を果たすための最低限の責務である。しかし、それと同時に、私たちはこの機会に、原発に依存しすぎるのではなく、再生可能エネルギーの導入促進や省エネルギーの徹底など、より持続可能で安全なエネルギー供給体制の構築に向けて、国民的な議論を深めるべきであろう。
「安全」という言葉は、決して感情論や政治的なスローガンであってはならない。科学的根拠に基づいた客観的な評価と、国民一人ひとりの生命と財産を守るという強い意志によって裏打ちされるべきものである。今回の玄海原発の件を、単なる一発電所の問題として片付けることなく、我が国のエネルギー政策全体を、改めて「国民の安全第一」という原点に立ち返って見つめ直す好機としたい。
玄海・川内原子力発電所の防災計画がさらにパワーアップ！～万が一に備えるための最新情報～,九州電力
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