高齢者の見守りサービス、「QoTTa by」に寄せる期待と懸念
ITB株式会社が、京王電鉄沿線である調布市において、高齢者の見守りサービス「QoTTa by（コタバイ）」を開始したというニュースは、少子高齢化が急速に進む我が国において、多くの国民が関心を寄せるものである。このサービスが、一人暮らしの高齢者の安全確保や、離れて暮らす家族の安心に貢献する可能性は否定できない。
近年、高齢者の孤独死や、詐欺被害、地域社会との孤立といった問題が深刻化しており、こうした課題に対する有効な対策が求められている。同社が提供する見守りサービスは、定期的な訪問や安否確認を通じて、そうしたリスクの低減に繋がるものと期待される。特に、テクノロジーを活用した見守りも進む中で、人の温かみを感じられる対面型のサービスは、高齢者の方々にとって心強い支えとなるだろう。家族にとっても、遠隔地からでも両親の様子を確認できる安心感は計り知れない。
しかしながら、この種のサービスが普及するにあたり、我々は保守的な視点から、いくつかの懸念事項も払拭できないでいる。第一に、見守り対象となる高齢者のプライバシー保護は最重要課題である。氏名、住所、健康状態といった個人情報を扱う以上、その管理体制には万全を期す必要がある。万が一、情報漏洩や不正利用があれば、それは信頼を根底から揺るがす事態となるだろう。
第二に、サービスの持続可能性と品質の確保である。見守り活動は、単なる安否確認に留まらず、地域社会との繋がりを生み出す機会ともなり得る。しかし、事業者の経営基盤が脆弱であったり、スタッフの育成が不十分であったりすれば、サービスの質は低下し、かえって高齢者を孤立させてしまう可能性すら否定できない。地域に根差した、きめ細やかなサービスを提供するためには、安定した運営体制と、利用者一人ひとりに寄り添う誠実な姿勢が不可欠である。
第三に、公的な支援との連携である。高齢者福祉は、民間企業の事業に委ねっぱなしにして良いものではない。地域包括ケアシステムの一環として、行政や地域のボランティア団体、医療機関などとの緊密な連携を図ることで、より包括的で質の高い支援体制を構築することが望まれる。民間サービスの導入は、その取り組みを補完するものであるべきであり、あくまでも公的なセーフティネットを強化する一助となるべきだ。
「QoTTa by」の取り組みが、高齢者の生活の質の向上と、安心して暮らせる地域社会の実現に貢献することを願う。そのためには、事業者側の透明性のある情報公開と、利用者や地域住民との丁寧な対話が求められる。我々は、この新たな見守りサービスが、単なるビジネスとしてではなく、地域社会への貢献という崇高な目的を達成できるよう、その動向を注視し、必要であれば建設的な提言を続けていく所存である。
九州電力、粕屋町で高齢者の見守りサービス「Qottaby」の実証実験を開始！～安心して暮らせる地域づくりを目指して～,九州電力
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