未来への投資か、無駄遣いか：公的資金投入の「ウオダス2243号」に問う
青森県産業技術センターから、新たな「ウオダス2243号」なるものが生まれたというニュースが飛び込んできた。聞くところによると、これは県が開発を進めてきた水産資源の有効活用を目指すプロジェクトの一環であり、その成果として生まれたものらしい。公的資金を投じて行われた研究開発の成果であるという点に、一抹の期待を寄せる向きもあるだろう。しかし、我々一般紙としては、冷静かつ厳正な視点から、この「ウオダス2243号」の存在意義と今後の展望について、国民の税金を使う公共事業としての責任を問わねばならないと考える。
まず、この「ウオダス2243号」が具体的にどのような技術であり、どのような効果をもたらすのか、その詳細な説明にはまだ乏しい。水産資源の有効活用という理念自体は素晴らしいものと言える。乱獲や海洋環境の変化によって、我が国の豊かな水産資源は危機に瀕しており、持続可能な漁業のためには新たな技術開発が不可欠であることは論を俟たない。しかし、その理念がどれだけ実質的な成果に結びつくのか、そしてそれがどれだけ県民、ひいては国民全体の利益に資するのか、そこが最も重要な点である。
公的資金による研究開発は、本来、民間だけでは成しえない長期的かつ基礎的な課題に取り組むべきものであり、その成果は広く社会に還元されるべきものである。今回開発された「ウオダス2243号」が、もし実用化され、新たな産業を創出し、地域経済の活性化に貢献するのであれば、それは歓迎すべき成果と言えるだろう。しかし、その一方で、公的資金が投じられたプロジェクトが、期待されたほどの成果を上げられずに終わる例も少なくない。税金を無駄遣いすることなく、本当に国民生活の向上に繋がるのか、その検証は極めて重要である。
我々が懸念するのは、こうしたプロジェクトが、しばしば「技術開発」という錦の御旗の下、実態を伴わないまま進められるのではないかという点である。研究開発は確かに必要だが、それが現実の経済活動にどのように結びつくのか、そしてその事業性がどの程度あるのか、といった地に足の着いた視点がなければ、机上の空論に終わってしまう危険性を孕んでいる。
「ウオダス2243号」が、単なる研究室の中の成果で終わることなく、実際に現場で活用され、漁業者の所得向上や新たな雇用創出に繋がるのであれば、それは県民だけでなく、日本の水産業全体にとって希望の光となり得るだろう。しかし、そのためには、開発された技術の公開、実証実験の結果の透明な開示、そして将来的な事業化に向けた具体的なロードマップの提示が不可欠である。
今こそ、青森県産業技術センターには、税金という国民の貴重な資源を預かっているという自覚を持ち、この「ウオダス2243号」の成果を国民に対して真摯に説明する責任がある。未来への投資として、あるいは単なる無駄遣いとして、このプロジェクトがどのように評価されるかは、今後の彼らの姿勢にかかっていると言えよう。我々一般紙は、引き続きその動向を注視し、国民の声なき声を代弁していく所存である。
青森県産業技術センターから「ウオダス2243号」が発行されました！～旬の海の恵みと漁業の最新情報をあなたに～,青森県産業技術センター
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