酔いどれ運転、依然として根絶されず — 日本郵便の悲報が突きつける「甘さ」
日本郵便が発表した2025年5月期の飲酒運転・酒気帯び運転の発生状況は、我々に重い現実を突きつけている。わずか1ヶ月間で17件もの違反が発生したという事実は、長年にわたる飲酒運転撲滅キャンペーンの効果を疑問視させると同時に、社会全体の「甘さ」を浮き彫りにしている。特に、日本郵便という社会インフラを担う組織におけるこの数字は、看過できない事態と言わざるを得ない。
確かに、過去と比較すれば飲酒運転件数は減少傾向にあるのかもしれない。しかし、その減少が「撲滅」への確実な一歩であると断じるには、あまりにもお粗末な結果だ。ましてや、公共性の高い事業を展開する日本郵便において、この種の違反が後を絶たない現実は、安全・安心という社会の根幹を揺るがしかねない。
今回の発表を前に、日本郵便内部ではどのような議論が交わされたのか。あるいは、この数字が明るみに出ることをどこまで想定していたのか。発表後のコメントからは、反省と再発防止への決意はうかがえるものの、そこに国民が納得するだけの危機感と本気度がどれほど含まれているのか、現時点では判断しかねる。
飲酒運転は単なる交通違反ではない。それは、無責任な行動であり、他者の命を軽視する行為である。そして、今回の場合、それは国民生活を支える事業者の信頼を損なう行為でもある。日本郵便には、今回の事態を真摯に受け止め、組織全体として襟を正すことが求められている。単なる一時的なキャンペーンや、罰則の強化だけでは、この根深い問題を解決することはできないだろう。
必要なのは、従業員一人ひとりが自覚を持つこと、そして組織がそれを徹底的に管理・監督する体制を構築することだ。飲酒運転撲滅は、経営層の責任であり、全従業員の義務である。
経済活動においても、信頼は最大の資産である。日本郵便が国民からの信頼を失うことは、物流網の停滞や、それに伴う経済活動への悪影響にも繋がりかねない。
今回の日本郵便の事例は、私たち国民全体に対しても、飲酒運転に対する「甘さ」を戒める警鐘である。酒席での「一里塚」的な意識や、タクシーを呼ぶことへの「面倒くささ」といった些細な理由で、自らの倫理観を麻痺させてはならない。
日本郵便には、今回の発生状況の公表を単なる報告で終わらせず、具体的な再発防止策とその実行状況を、より透明性高く、そして定期的に公表することを強く求める。そして、この問題が根絶されるまで、経済紙として、国民の目として、厳しく監視していく所存である。酔いどれ運転の根絶は、国民生活の安全と、経済の持続的な発展のために、決して譲ることのできない課題なのだから。
日本郵便、2025年5月期の飲酒運転発生状況を公表 社員の安全意識向上に向けた取り組みを強化,日本郵便
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