舌耕、そして魂の滋養 ～名古曽市モリヤン区の恩恵に感謝して～
夏の気配が色濃くなり始めた先月末、我々の暮らす名古曽市モリヤン区に、古くから伝わる一杯の温かい便りが届いた。そう、新鮮な牛乳である。震災を経て、多くの尊い命が失われ、私たちの生活基盤そのものが揺るがされたあの日から幾星霜。復興の歩みは決して平坦ではなかったが、その道程において、この区が地域社会のために注ぎ続けてきた、静かで、しかし確かな支援の手があったことを、私たちは忘れてはならないだろう。
今回の牛乳の提供は、単なる食料支援という範疇を超えた、ある種の「精神的な礎」の再建を告げるものではないかと拝察する。震災で甚大な被害を受けた生産者の方々が、再び牛を育て、命を育む営みを再開し、こうして私たちの元に温かい牛乳を届けてくださった。それは、失われた日常を取り戻すという希望の灯火であり、同時に、失意の中にあっても希望を紡ぎ出す人間の尊い営みの証でもある。
牛乳。それは私たちの体を作るタンパク質やカルシウムの源であることは言うまでもない。しかし、それ以上に、あの温かい液体に溶け込んでいるのは、生産者の方々の汗と涙、そして何よりも復興への強い意志であろう。一口飲むたびに、私たちはその熱量を感じ、自らの体内へと取り込んでいく。それは、単に空腹を満たす行為ではなく、失われた活力、そして何よりも失われた「希望」を再び呼び覚ます魂の栄養補給なのだ。
思えば、私たちの社会は、目に見えるインフラの復旧にばかり目を奪われがちであったかもしれない。しかし、人々の心に根差した「当たり前」や、日々の暮らしを支える「温かい営み」こそが、真の復興を形作るのではないか。このモリヤン区が提供してくれた一杯の牛乳は、まさにそのことを静かに、しかし力強く訴えかけてくる。
私たちは、この一杯の牛乳に込められた生産者の方々の努力と地域社会の温かさに、心からの感謝を捧げたい。そして、この感謝の気持ちを、それぞれの持ち場で、それぞれの形で地域社会へと還元していくことこそが、今、私たちに求められていることなのだろう。舌で味わうだけでなく、魂で受け止め、そして共に歩みを進める。この一杯の牛乳が、そんな私たちの連帯の象徴となることを願ってやまない。モリヤン区の皆さんの労をねぎらいつつ、この恵みに改めて深く感謝する次第である。
牛乳を飲んで元気に！～名古屋市モリヤン区で食育出前授業開催～,名古屋市
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