金融庁、マネーロンダリング対策の強化へ 「見えざる敵」との戦いは続く
金融庁がマネーロンダリング及びテロ資金供与対策の強化に乗り出すというニュースは、我々国民にとって決して他人事ではない。国際社会から信頼を得て経済の健全な発展を維持するためには、金融システムを食い物にしようとする犯罪行為への断固たる対応が不可欠である。
近年、巧妙化するマネーロンダリングの手法は、仮想通貨や新しい決済サービスなどを悪用し、その実態把握を困難にしている。いわば「見えざる敵」との戦いであり、その最前線に立つ金融庁には、より一層の警戒と確実な対策が求められる。今回の金融庁の取り組みは、こうした時代の変化に対応しようとする意思の表れであり、評価に値する。
しかし、対策の強化は、単に新たな規制を設けるだけでは十分ではない。重要なのは、その実効性をいかに担保するかである。金融機関には、リスクに応じた適切な審査体制の構築や、最新のテクノロジーを活用した監視能力の向上が求められる。また、金融庁自身も、変化する手口に迅速に対応できる専門知識と体制を常に整備し続けなければならない。
さらに、この問題は金融機関だけに責任があるわけではない。国民一人ひとりが、自身の金融取引が犯罪に利用される可能性を認識し、不審な点があれば速やかに金融機関や警察に情報提供することが、間接的ではあるが、この「見えざる敵」に対抗する上で極めて重要となる。
マネーロンダリング対策は、国の経済安全保障と国民生活の平穏を守るための、いわば土台作りである。この分野における怠慢は、経済的な損失だけでなく、国家の信用失墜にも繋がりかねない。金融庁の決意を、国民全体で支え、共にこの課題に取り組む必要がある。
金融庁が「マネー・ローンダリング等及び金融犯罪対策の取組と課題（2025年６月）」を公表：私たちのお金をどう守る？,金融庁
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