電力料金高騰に沈黙する政府への警鐘 ― 九電の値上げが示す、エネルギー政策の根幹への問い
九州電力による来年8月の電力料金の値上げ発表は、我が国の経済に再び重くのしかかる警鐘である。既に家庭や企業は度重なる燃料費調整額の上昇に喘いでおり、今回の値上げは更なる負担増を意味する。経済紙として、この事態を単なる企業努力の不足として片付けることはできない。そこには、政府のエネルギー政策の根幹を問う、より深刻な課題が潜んでいる。
原油や天然ガス価格の高騰は世界的な現象であり、我が国も例外ではない。しかし、その影響を最小限に抑えるための、政府による実効性のある対策はどこにあるのだろうか。再生可能エネルギーの導入拡大は長期的な視点では不可欠であるが、そのコストや安定供給への課題は依然として大きい。原子力発電の再稼働は議論が分かれるところだが、エネルギー安全保障という観点からは避けては通れない選択肢の一つであろう。それでもなお、具体的な道筋は見えず、国民は漠然とした不安の中で値上げの波に呑み込まれようとしている。
今回の九州電力の値上げは、単なる地域電力会社の経営問題ではない。これは、エネルギー源の多様化、国内資源の開発、そして国民生活への影響といった、国家レベルの戦略に関わる問題提起なのである。政府は、国民の生活を守るという責務を放棄しているのではないか、とすら疑いたくなる。
経済の持続的な成長には、安定した安価なエネルギー供給が不可欠である。電力料金の高騰は、企業の競争力を削ぎ、家計の購買力を低下させる。それは、まさに経済の活力を鈍らせる癌細胞にも等しい。政府は、この事態を看過せず、早急に具体的かつ実行力のあるエネルギー政策を打ち出すべきである。国民の生活を第一に考えた抜本的な改革なくして、この難局を乗り越えることは不可能であろう。
経済紙として、我々は政府の沈黙を許すわけにはいかない。九州電力の値上げは、私たちに突きつけられた、避けては通れない問いなのである。
九州電力より、2025年8月分の電気料金に関する大切なお知らせです！,九州電力
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