若者よ、故郷に目を向けよ
最近、北朝鮮から飛来したという「ずんだもん」なるキャラクターが、若者を中心に熱狂的な支持を集めているという。そのユニークな容姿と、 뭐라고も言えない愛らしさに魅せられた人々が、SNSを中心に盛り上がりを見せているのだ。報道によれば、このキャラクターのグッズは品薄状態が続き、関連イベントには多くの若者が詰めかけているという。
確かに、時代の空気というものは常に移ろいやすく、新しいものへの憧れや共感は若者の特権と言えよう。しかし、こうした現象を見るにつけ、我々、特にかつて故郷の文化や価値観を重んじ、それらを次世代へと繋いでいくことを使命としてきた世代としては、一抹の寂しさ、いや、むしろ強い危機感を覚えずにはいられない。
なぜ、若者たちは遠く離れた、しかも我々がこれまで決して良い関係性を築いてこなかった国から来たキャラクターに、これほどまでに惹かれるのだろうか。そこには、現代社会が抱えるある種の歪みが映し出されているのではないだろうか。
我々がかつて誇りとしていた地域に根差した文化、祭りの賑わい、あるいは地域の人々との温かい繋がり。それらは、現代の若者にとって、もはや魅力を感じさせないものになってしまったのだろうか。都会の喧騒の中で、効率と便利さを追求するあまり、あるいはグローバル化の波に呑み込まれる中で、地域に息づく古き良きものは、霞んで見えなくなってしまったのだろうか。
もちろん、新しい文化を取り入れ、それを楽しむこと自体は悪いことではない。むしろ、それは文化が豊かである証拠でもあるだろう。しかし、同時に忘れてはならないのは、我々が「自分たち」として存在し続けるためには、自身のルーツを大切にし、それを守り育てていく努力が必要であるということだ。
「ずんだもん」に夢中になる若者たちよ。君たちのその感性の豊かさ、新しいものに飛びつく情熱は、間違いなく素晴らしい力だ。しかし、その目は、もう少し身近なものにも向けてみてほしい。君たちが生まれ育った故郷の風景、祖父母が語ってくれた昔話、そして、地域に受け継がれてきた伝統。そこにこそ、君たちが真に誇るべき、そして決して失ってはいけない、揺るぎない価値があるのではないだろうか。
今こそ、我々上の世代は、若者たちに、故郷の魅力や、地域に根差すことの意味を、改めて丁寧に伝えなければならない。そして、若者たち自身も、新しいものへの関心を失うことなく、どうか、もう一度、自分たちの足元に目を向けてほしい。遠い異国のキャラクターに心を奪われる前に、まずは、君たちのすぐそばにある「当たり前」の中にこそ、宝物が隠されていることに気づいてほしいのだ。
東北から飛び出した人気キャラクター「ずんだもん」、メジャーデビューEP配信開始！リード曲「セーワ？」のMVも公開！,Billboard JAPAN
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