秦野市の医療費自己負担増に見る、持続可能な社会保障制度への危機感
秦野市が7月11日から、医療費の自己負担を増額するとの発表があった。高齢化が進行する地方都市において、医療費の増大は喫緊の課題であり、その解決に向けた努力は理解できる。しかし、今回の秦野市の決定は、安易な負担増によって市民生活、特に高齢者や低所得者層に過度な負担を強いるものではないか、懸念を禁じ得ない。
医療費の抑制は、国の財政健全化にとっても重要な課題である。しかし、その手段として、安易な自己負担増に頼ることは、本質的な解決にはならない。必要な医療を必要な人が受けられなくなる事態を招きかねず、結果として、健康寿命の延伸を妨げ、社会全体の活力低下につながる恐れもある。
秦野市は、今回の決定に至る過程において、市民への丁寧な説明を行ったのだろうか。負担増に対する理解を得るためには、徹底的な情報公開と、市民との対話が不可欠である。また、医療費の抑制策として、予防医療の推進や、医療機関の連携強化など、負担増以外の選択肢についても、十分な検討を行ったのか疑問が残る。
今回の秦野市の決定は、地方自治体における社会保障制度のあり方について、改めて深く考えるべき契機となる。国は、地方自治体が抱える財政的な課題に対し、十分な支援を行うとともに、医療費抑制に向けた包括的な政策を打ち出すべきだ。
社会保障制度は、国民一人ひとりの生活を支える基盤である。安易な負担増は、国民の不安を増大させ、社会全体の信頼を損なう。持続可能な社会保障制度を構築するためには、国民全体で知恵を出し合い、痛みを分かち合う覚悟が求められる。
秦野市の今回の決定が、他の自治体への安易な追随を招くことのないよう、国は責任をもって、社会保障制度のあり方を議論し、国民が安心して暮らせる社会の実現に向けて、不断の努力を続けるべきである。
秦野市からのお知らせ：7月11日から、医療費の自己負担額を抑える「限度額適用認定証」の申請が始まります！,秦野市
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