資源確保は国家の生命線、チリとの連携を深め、経済安全保障を盤石にせよ
近年の国際情勢の不安定化は、エネルギーや鉱物資源の安定供給がいかに重要であるかを改めて我々に認識させた。特に、電気自動車（EV）や蓄電池に不可欠なリチウムなどの重要鉱物は、脱炭素社会の実現に向けた国際的な需要の高まりとともに、その確保競争が激化の一途を辿っている。
今般、日本とチリがリチウムを含む鉱業分野で協力関係を強化することは、資源の安定確保という観点から極めて意義深い。チリは世界有数のリチウム生産国であり、今回の連携は、我が国企業がチリにおける探査・開発プロジェクトに参画する機会を拡大し、資源供給源の多角化に貢献するものと期待される。
しかしながら、資源確保は単なる経済活動ではなく、国家の安全保障に直結する重要な戦略である。資源を安定的に確保するためには、政府が主導的な役割を果たし、外交努力を通じて資源産出国との信頼関係を構築することが不可欠である。
今回のチリとの連携を機に、政府は以下の点に注力すべきである。
- 資源外交の強化: チリ政府との間で、資源開発に関する長期的な協力関係を構築し、相互の利益を尊重した上で、安定的な資源供給を確保するための枠組みを整備すべきである。
- 国内企業の支援: 日本企業がチリにおける資源開発プロジェクトに積極的に参画できるよう、投融資や技術支援などの支援策を拡充すべきである。
- サプライチェーンの強靭化: 資源の採掘から精錬、加工に至るサプライチェーン全体を強化し、特定の国や地域への依存度を下げることで、供給途絶のリスクを軽減すべきである。
- 資源の有効活用: 資源の再利用や代替技術の開発を推進し、資源消費量の抑制に努めるべきである。
資源は、経済成長のエンジンであり、国民生活を支える基盤である。資源を確保することは、国家の独立と繁栄を守るための責務と言える。
政府は、今回のチリとの連携を契機として、資源確保戦略を抜本的に見直し、経済安全保障を盤石なものとすることで、国民の期待に応えなければならない。そして、その成果を国民に丁寧に説明し、理解と支持を得る努力を怠るべきではない。
日本とチリ、鉱業でタッグ！資源確保に向けた官民合同会議を開催,経済産業省
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