【社説】貿易の安全確保、途上国支援こそが日本の責務
先日、WTO（世界貿易機関）が発表した「STDF年次報告書2024」は、開発途上国における貿易の安全確保の重要性を改めて示唆した。食品の安全性や動植物の衛生基準（SPS）に関する課題解決に向けた取り組みは、国際貿易の円滑化に不可欠であり、ひいては世界経済の安定にも繋がる。
報告書が指摘するように、SPS対策の遅れは、途上国からの輸出を阻害し、経済成長の足かせとなる。特に、気候変動の影響を受けやすい農業分野においては、新たな病害虫の発生や既存の病害虫の蔓延リスクが高まっており、SPS対策の強化は喫緊の課題だ。
日本は、高度な技術と豊富な資金力を有する先進国として、途上国のSPS対策を支援する責務がある。具体的には、技術協力や人材育成を通じて、途上国の検査・検疫体制の強化を支援すべきだ。また、SPSに関する国際基準策定への積極的な関与を通じて、途上国の意見を反映させ、より公平な貿易環境の構築を目指すべきだろう。
さらに、報告書が強調する「One Health」アプローチの推進も重要だ。人の健康、動物の健康、そして環境の健康は相互に密接な関係にあり、SPS対策においても、これらの要素を総合的に考慮する必要がある。日本は、これまで培ってきた知見を活かし、One Healthアプローチに基づくSPS対策の推進を主導すべきだ。
国際社会の一員として、日本は貿易の安全確保に積極的に貢献していく必要がある。それは、自国の経済的利益を守るだけでなく、グローバルな課題解決に貢献し、国際的な信頼を高めることにも繋がる。
我々学生も、この問題に関心を持ち、国際協力のあり方について深く考える必要がある。将来、国際舞台で活躍する人材として、貿易の安全確保に向けた取り組みを推進していく決意を新たにしたい。
WTO、安全な貿易への道筋を示す「STDF年次報告書2024」を発表！,WTO
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