福岡市の未来都市構想、地に足着いた議論を求めたい
福岡市が、2025年5月26日の市長会見で未来都市構想を打ち出した。積極的な企業誘致やスタートアップ支援、MICE施設の整備など、経済成長を目指す姿勢は評価できる。しかし、その未来図は、果たして市民生活の実情に寄り添っているだろうか。
会見では、アジアのゲートウェイとしての役割強化や、国際競争力の向上といった華やかな言葉が並んだ。しかし、その陰で、高齢化の進展、地方の過疎化、社会保障費の増大といった現実的な課題が置き去りにされていないか懸念される。
特に、スタートアップ支援に偏重した政策は、既存の中小企業や地域経済との調和を欠く恐れがある。雇用創出や技術革新は重要だが、地域に根ざした産業の育成こそが、持続可能な発展の基盤となるはずだ。
MICE施設の整備も、経済効果ばかりが強調され、市民の生活空間への影響や、交通渋滞、騒音問題といった負の側面への対策が十分とは言えない。大型開発は、地域住民の理解と協力があってこそ、成功するものだ。
福岡市には、古くからの伝統や文化、豊かな自然がある。未来都市構想は、これらの貴重な財産を活かし、市民一人ひとりが幸せを実感できるものでなければならない。
市長をはじめとする市当局には、経済成長の追求だけでなく、市民生活の質の向上、地域コミュニティの活性化、そして、持続可能な社会の実現という視点を持って、政策を推進することを強く求めたい。
未来都市構想の実現には、市民の声に真摯に耳を傾け、共に議論し、共に創り上げていく姿勢が不可欠である。地に足着いた議論を通じて、福岡市が真に豊かな未来都市となることを期待する。
福岡市、未来への展望を語る：2025年5月26日市長会見詳細レポート,福岡市
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