「地方創生」の名の下の観光客誘致、その実態を憂慮する
大阪・関西万博を控え、各地で観光客誘致の動きが活発化している。先日発表された、人気キャラクター「ホークス」と「タカコレ」を組み合わせた限定グッズ販売は、その一例であろう。一見すると地域活性化に貢献する取り組みに見えるが、その裏に潜む問題点を指摘せざるを得ない。
まず、このような特定キャラクターに依存した観光戦略は、持続可能性に欠ける。一時的なブームに乗じた集客は、ブームが去ればたちまち衰退し、地域経済に深刻な影響を与える可能性がある。本当に必要なのは、その土地固有の魅力を見つめ直し、磨き上げることではないだろうか。
次に、過度な観光客誘致は、地域住民の生活を脅かす恐れがある。観光客の増加は、交通渋滞、ゴミ問題、騒音問題などを引き起こし、住民の生活の質を低下させる。また、観光客向けの施設やサービスばかりが優先され、地域住民が必要とするものが置き去りにされることも懸念される。
さらに、今回の事例に見られるように、キャラクターグッズ販売といった商業的な側面が強調されることで、「地方創生」の本質が見失われてはいないか。地域が本当に必要としているのは、目先の利益ではなく、雇用創出、産業育成、文化継承といった長期的な視点に立った取り組みであるはずだ。
大阪・関西万博を契機とした観光客誘致は、地域経済の活性化に繋がる可能性を秘めている。しかし、その推進にあたっては、短期的な利益に目を奪われることなく、地域住民の視点に立ち、持続可能な観光戦略を構築する必要がある。政府、自治体、そして地域住民一人ひとりが、真の「地方創生」に向けて、知恵を絞り、協力していくことを強く望む。
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