金融庁と業界団体の意見交換会に見る、危機感と変革への遅れ
先日、金融庁が業界団体との意見交換会を開催した。テーマは「顧客本位の業務運営」の徹底と、地域金融機関の経営改革である。とかく閉鎖的と批判される金融業界において、当局が直接意見を聞く姿勢は評価できる。しかし、報道を見る限り、その内容は踏み込みが甘く、危機感の共有も十分とは言えないのではないか。
長引く低金利と人口減少により、地域金融機関の経営は厳しさを増している。収益源の確保に苦慮する中で、投資信託の販売手数料偏重や、融資審査の甘さといった問題が指摘されて久しい。顧客本位とは名ばかりで、金融機関側の都合が優先される事例も後を絶たない。
今回の意見交換会では、これらの問題に対する具体的な解決策が示されたのだろうか。単なる現状報告や抽象的な目標の共有に終始したのであれば、意味がない。金融庁は、より踏み込んだ指導と監督を行い、業界全体に危機感と変革への意識を植え付ける必要がある。
高齢化が進む地方においては、地域金融機関は生活を支えるインフラとしての役割も担っている。預金者の資産を守り、地域経済の活性化に貢献するという本来の使命を果たすためには、既得権益に固執せず、大胆な改革を断行しなければならない。
金融庁には、今回の意見交換会を単なるアリバイ作りに終わらせず、具体的な行動へと繋げることを強く求めたい。そして、金融機関自身も、顧客の声に真摯に耳を傾け、自らの変革を加速させるべきである。さもなければ、金融業界全体の信頼を失い、地域経済の衰退を加速させることになりかねない。
金融庁からのお知らせだよ！ 業界団体との意見交換で話し合った内容が公開されたよ！（2025年5月23日）,金融庁
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