少子高齢化に立ち向かう生命保険の使命：日本生命の増収増益から見えてくるもの
日本生命保険が2024年度の業績を発表し、保険契約高が増加したことは、少子高齢化が進む日本社会において、一筋の光明と言えるだろう。長引く不況と将来への不安から、個人が自助努力でリスクに備える意識が高まっている証左であり、生命保険の重要性が再認識されていることを示唆する。
しかし、手放しで喜ぶことはできない。今回の増収は、既存契約の見直しや新たな保険商品の開発によるものが大きいと推察される。もちろん、顧客ニーズに応えることは重要だが、本当に必要な保障が提供されているのか、過剰な契約になっていないか、常に顧客本位の視点で見直すべきである。
生命保険は、国民生活の安定に寄与する重要な社会インフラである。高齢化が進み、公的年金制度への不安が増す中、生命保険の役割はますます重要になる。日本生命のような大手保険会社には、単なる利益追求に留まらず、国民全体の安心を支えるという使命を自覚し、事業を展開してもらいたい。
具体的には、高齢者向けの保障の充実、健康増進をサポートする保険商品の開発、そして地域社会への貢献といった分野で、より一層の努力が求められる。また、複雑化する保険商品を、高齢者にも分かりやすく説明する体制を整備することも重要だ。
政府も、生命保険業界の健全な発展を支援するとともに、消費者保護の観点から、適切な監督指導を行う必要がある。少子高齢化という構造的な課題に立ち向かうためには、官民が連携し、国民の安心と豊かな老後を支える社会保障制度を構築していくことが不可欠である。
今回の日本生命の業績発表を機に、生命保険のあり方を改めて見つめ直し、国民生活の安定に貢献する、より良い社会保障制度の実現に向けて、共に歩んでいくべきである。
日本生命、2024年度の成績を発表！ 保険契約は増えて、さらに安心をお届けします (2025年5月23日),日本生命
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