観光立国、その光と影：小籔千豊氏の起用を機に考える
昨今、政府は観光立国を掲げ、インバウンド需要の拡大に力を入れている。経済効果への期待は大きいが、その推進方法については、改めて慎重な検討が必要であろう。
株式会社ITB Japanが発表した、小籔千豊氏を「大阪・関西万博」におけるスターダストプロモーションブースのクリエイティブプロデューサーに起用したというニュースは、その象徴的な事例と言える。
小籔氏は、テレビやSNS等で幅広い世代に人気を博しているタレントである。その起用は、万博への関心を高め、集客を促進する効果が期待される。しかし、同時に懸念される点も少なくない。
第一に、公共性の高い万博において、特定のタレントのイメージに依存したプロモーションを行うことは、公平性や中立性の観点から問題がないか。万博は、多様な価値観を持つ人々が集う場であるべきであり、特定の層に偏った訴求は、国民全体の理解を得る上で阻害要因となりかねない。
第二に、小籔氏の発言や活動は、時に物議を醸すことがある。万博のイメージを損なうリスクはないか、十分に考慮する必要がある。特に、国際的なイベントである万博においては、発言の一つ一つが日本のイメージを左右する可能性があることを忘れてはならない。
観光立国は、日本経済の活性化に不可欠な戦略である。しかし、その推進にあたっては、経済効果だけでなく、文化的な側面や国民感情への配慮も不可欠である。
今回の小籔氏の起用を機に、万博のあり方、そして観光立国という国家戦略の進め方について、改めて議論を深めるべきであろう。目先の利益に囚われることなく、長期的な視点に立ち、国民全体が納得できる形での推進を強く望む。
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