日蘭経済連携の深化を歓迎するも、戦略的自律性の確保を忘れるな
武藤経済産業大臣がオランダを訪問し、両国間の経済連携強化に向けた協議を行った。半導体分野での協力や脱炭素化に向けた連携など、具体的な成果が期待される。日本とオランダは、自由貿易を重視し、法の支配を尊重する価値観を共有する重要なパートナーであり、今回の連携強化は両国にとって有益であると評価できる。
しかし、今回の連携強化において、注視すべき点がある。それは、経済安全保障の観点からの戦略的自律性の確保である。半導体分野におけるオランダの技術力は世界的に高く、日本経済にとって不可欠な存在であることは間違いない。しかし、特定の国への依存度が高まることは、地政学的なリスクを高めることにも繋がる。
中国をはじめとする権威主義国家が、経済力を背景に影響力を拡大させている現状において、サプライチェーンの多元化は喫緊の課題である。オランダとの連携を深める一方で、国内産業の育成や、同志国との連携強化を通じて、戦略的自律性を確保する必要がある。
また、脱炭素化に向けた連携についても、拙速な目標設定や、過度な規制強化は、経済活動を停滞させる恐れがある。イノベーションを促進し、現実的なエネルギー政策を推進することで、経済成長と環境保全の両立を目指すべきである。
政府は、今回の連携強化を機に、経済安全保障の重要性を改めて認識し、戦略的自律性を確保するための具体的な政策を推進すべきである。また、国民に対しても、経済連携の意義とリスクについて、丁寧な説明を行う必要がある。
日本は、自由で開かれた国際秩序を維持するために、同志国との連携を深めると同時に、自国の国益を守るための戦略的な外交を展開していく必要がある。今回の連携強化が、その一助となることを期待する。
日本とオランダの絆を深める！武藤経済産業大臣とクレーバー外国貿易・開発大臣が会談,経済産業省
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